正しい日本語ざます

「お弁当は温めますか?」
コンビニで弁当を買う際、店員のこのセリフは「お約束」である。まぁ無事に意図が伝わればいいわけで、この文言にオリジナリティを求める必要はないだろう。自身もその言葉を当たり前のように聞いている。
優雅な独身貴族を気取っているわけではないが、私は基本的に自炊派で、特に包丁と中華鍋さばきは町内会で100指に入る。だが、納期に追われるなどして仕事が立て込んでいる時には悠長なことなど言っておれず、パソコンに向かいながらのコンビニ弁当…ということも珍しくない。
少し前の話になるが、立ち寄ったコンビニで「唐揚弁当」なるものを手にレジへ。見たところ、店員さんは50歳前後といったところ。加熱の必要はないとはいえ、無意識に冒頭のセリフを待っていたところ、彼女はおもむろにこう言った。
「チンします?」
チ、チン…?あまりの意外性に脱力。コンビニはもちろん、チェーン展開しているファミリーレストランなどでも多くの接客用語がマニュアル化されている。だが、無意識であろうとはいえ、捉え方によっては失礼でもあり、フレンドリーでもあるこのセリフには久々に気持ちが和んだ。普段から、いかに画一的なマニュアル言葉に慣れてしまっていることか…。
言葉といえば、かねてから随所で指摘されている「店員のヘンな敬語」がある。「こちらの方、お下げしてもよろしいですか?」「一万円からお預かりしまーす」「~で、よろしかったでしょうか?」など。これらもマニュアルで定められている言葉なのだろうか…。
さらに、もうずいぶん前の話だが、「鳥インフルエンザ」が原因で養鶏場の鶏が大量死した問題を取り上げていた報道番組の女性アナウンサーが、「これだけ多くの鶏が亡くなった原因は…」と言い放った時には、さすがに目まいがした。アナウンサーといえど、今はその程度のレベルのようだ。
他にも「言葉のプロ」であるキャスターあるいはアナウンサーの誤用としては、「お食べになる」 「汚名挽回」「舌づつみ」「とんでもございません」などを思い出す。昨今のアイドル化している女子アナウンサーに多いが、やはり今の時代が女子アナに求めているのは言語能力ではなく「器量」なのだと実感する。
何やら偉そうに書いてしまったが、いわゆる「ページもの」と呼ばれる文章組版の仕事では、まず原稿の日本語チェックから始めなければならないため、とかく言葉の誤用には敏感になってしまっている。しかし、かくいう自身もまだ未熟者、常に「我がふり直す」よう努力はしているつもりだ。
いつの時代でも「言葉が乱れている」と言われているようだが、正しい日本語の知識を持ち、きちんと使い分けができる若者を発見した瞬間には、「あぁ、日本もまだまだ捨てたもんじゃない」と思ってしまう。我ながら歳とったわ…

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