政治のレベルは国民のレベル

突然の解散劇から投票日まで1ヵ月という短期決戦が事実上始まっているが、雨後の筍のように乱立する新党にはメディアも国民も混乱しているようだ。
解散後の新聞やテレビは選挙や政局ネタのオンパレードで、それらには全政党の政策比較表が頻繁に出ている。しかし、取り上げる政策はほとんどが「原発」「増税」「TPP」の3点セットで、外交・防衛・経済・教育などの基幹政策はなぜかスルーだ。日本の未来が、この3政策だけで選ばれると思うとゾッとする。
ただ、実質的な国民の関心事トップ3は「社会保障」「景気」「消費税」だそうで、これらは自分の財布の中身を気にする、要は「もっとカネが欲しい」という欲望である。脱原発を本気で叫んでいる国民などは圧倒的な少数派だし、TPPに至っては大多数にとって他人事のため、仕組みすら理解されていない。
つまり、国民が望む政策とマスコミが騒ぐ政策は一致していないのだが、何やらまた新党が結成されたようだ。「反TPP・脱原発・消費増税凍結を実現する党」という、大衆迎合の見本のような党名だが、「反対、何でも反対、全部反対」なのであれば、一貫して同じ主張をしてきた社民党や共産党と一緒になればいい。政策が同じ零細政党が乱立するのは有権者にとっても迷惑なだけだ。
「国家の政治レベルは、その国民のレベル以上にはならない」
世界の民主主義国家に共通する戒めの言葉だが、有権者の程度を見透かして票欲しさだけで迎合したいのが日本の政治家である。本来は天下国家を論じ、国益を第一義として働くはずの国会議員が、一部の利害関係者や地元の利益しか考えていない。
「景気が悪いのも収入が低いのも仕事がないのも、すべて国のせい」
これは真っ当な「批判」ではなく、単なる「不平不満」である。ろくな努力もせず、何でも政治や体制に責任転嫁する国民が多いため、3年前には「子ども手当」や「高速道路無料化」というバラマキに群がった。国民意識がこんな程度では、様々な経済的負担に自治体格差が生まれる地方分権化など論外であり、全国一律が原則である中央集権体制のままの方が遥かにマシということになる。
現在の日本国民は、何かにつけ権利と不満ばかり主張している。バブル期には資本主義を謳歌していたのに、不景気が長引くと今度は格差解消を求める…。こんな国に民主主義や資本主義は必要ない。社会主義または共産主義国家に転換してしまえばいいのだ。
私は過去にボランティアの社会活動を2つほどしてきたが、これらを通じて人間の身勝手さを嫌というほど見てきた一人として言いたい。
「税金は払いたくない。でも社会保障や雇用は何とかしろ」などと寝言を言っている国民には、選挙権すら必要ない。
元アメリカ大統領の故ジョン・F・ケネディは1961年の就任演説で、こう唱えた。
「あなたの国があなたのために何ができるかを問うのではなく、あなたがあなたの国のために何ができるのかを問うてほしい」
国に甘え、自分の損得勘定しかできない国民に明るい未来はない。
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カテゴリ : 政治選挙