甘ったれるなフリーランス

実に3年8ヶ月ぶりの更新だが、どうもお久しぶりです。
(もう読者もいなくなったと思うが…笑)
さて、1月から話題になり始めた新型コロナ騒動で、今や一億総パニック状態に陥っている我が国だが、ここに至っては世界中で「新型コロナ狂騒曲」が繰り広げられている模様である。
新型コロナは未知のウイルスとはいえ、現時点の統計では約8割超の感染者が無症状または軽症で済み、その症状も「ウイルス性の風邪」の域を出ないものなのだが、まるでペストやマラリアのごとく「感染したら人生終了」のようなイメージになってしまっている。
なるほど、テレビのワイドショーなどを観ると「専門家」たちはここぞとばかりに論拠の希薄な持論を展開し(しかも人によって意見の方向性が正反対)、そして「コメンテーター」として登場するお笑い芸人やタレントたちはその専門家に同調するように、したり顔で知ったかぶりのコメントを垂れ流している。
連日、累計の感染者数だけを積み上げるだけで、回復・退院者の数はほとんど出さないメディアの扇動報道を鵜呑みにする国民が多いんだろうなぁと思いつつ、他人事ではない「あるテーマ」に関するニュースが気になったので一言。
それは、学校の一斉休校によって子供の世話を余儀なくされ、出勤できなくなった労働者がいる企業への休業補償(一人あたり1日8,330円)に関連し、フリーランスに対する補償額(同4,100円)への不平不満が噴出しているとの記事だ。(本文最下欄に記事全文)
「フリーランス」とは、特定の企業や組織などに雇われる「雇用契約」ではなく、「業務(委託)契約」によって自らの技能や知識をクライアントに売る個人事業主のことで、かくいう私もフリーランスの一人である。
守ってくれる組織がなく、明日の仕事の保証もないフリーランスだが、月々の収入に限度がある会社員とは違い、能力や努力によっては青天井の収入が得られるのもまたフリーランスである。私たちはそういう特性を理解し、リスクも覚悟したうえで開業したはずである。
フリーランスが外的要因によって仕事を減らしたり無くなったりするのは今回の騒動に限ったことではないのだが、特定野党やメディアの執拗な「政府叩き」に乗じて「俺にも補償しろ」だの「これでは安すぎる」だのと文句を言うのはお門違いも甚だしい。
それに、今回の政府の補償はあくまで「一斉休校に伴う措置」で、一人では留守番ができない低学年の子供を持つ保護者が対象なのだが、政府の要請に伴う各種の「自粛」等が原因で仕事が無くなった分も補償されると勘違いしているフリーランスのなんと多いことか…。
ともあれ、誰に命令されたからではなく、自らの意思でフリーランスという生き方を選んだはずである。仕事のキャンセルや収入減少を国のせいにしているヒマがあったら、めげずに営業するなり、とりあえずは日雇いのアルバイトでもして食いつなぐなどの努力はできないのだろうか。少なくても「副業禁止」という制約はないのだから…。
もっと辛辣に言えば、国に補償してほしいと言っている時点で「私は当面をしのぐ貯金すらない、仕事のできない人間です」と公言しているようなもので、これではフリーランス全体の印象が悪くなるだけである。
観光客の減少や過度な自粛による原因売上減を理由に突然解雇されてしまったり、資金繰りに窮して廃業・倒産する企業は今後どっと出てくることだろう。それはつまり、フリーランスではとても及ばないほどの莫大な債務と責任を背負う経営者が続出するということだ。
多くの産業が深刻なダメージを受けている中で「木を見て森を見ず」がごとく自分の損失だけを声高に叫ぶのではなく、私自身も含め、フリーランスはもう少し冷静に思慮・行動すべきだろう。
休業補償 フリーランスに不公平感 新型コロナ 対象限定 少ない日額
政府が新型コロナウイルス感染症対策として緊急対策第2弾に盛り込んだ休業補償を巡り、フリーランスで働く人から不安や困惑の声が上がっている。対象が、企業から業務委託を受けて働いており、休校中の子どもの世話で休んだ人に限られているほか、1日4,100円に設定された金額の根拠もあいまいなためだ。鳥取県は支援対象を広げるため、独自に個人事業主に助成する取り組みを始める。
(田口博久、野呂有里、斉藤千絵)
「日額4,100円ではとても足りない。制度の中身もよく分からない」。企業広告などを扱う札幌市中央区のフリーライターの男性(47)はこう話す。3月に入り、契約先との面談や委託業務が相次ぎキャンセルとなった。共働きの妻と交代で小学4年生の長女と自宅で過ごさなければならず、生活に不安を募らせる。
厚生労働省は4,100円の根拠を「東京都の最低賃金1,013円を基に、フリーランスの就労時間が4時間と仮定して算出した」とする。ただ、会社勤めの保護者は日額上限8,330円が企業に助成され、大きく見劣りする。
厚労省は「制度を作るには一定の線引きが必要だ」と釈明するが、不透明感は拭いきれない。
支援対象から漏れる人もいる。札幌市手稲区の新岡唯さん(31)はフリーランスの個人事業主として、3歳の息子を保育園に通わせながら企業の採用支援や人材育成を手掛ける。先月以降、業務委託の仕事3、4件がキャンセルとなり、損失は10万円以上になった。
しかし今回、国が支援するのは、学校の臨時休校に伴い子どもの世話をするために仕事を休んだ人だけだ。新岡さんは「子どもが小中学生かどうかで対象の可否が変わるのは不平等ではないか」と首をかしげる。
各種イベントは政府の自粛要請に応じて中止されているにもかかわらず、対象外だ。日本俳優連合などは12日、東京都内で記者会見し、フリーランスとして働く芸能従事者への所得補償を政府に求めた。
池水通洋専務理事は「公演キャンセルが相次いでおり、劇団員らが無収入になっている」。同席した落語芸術協会の田沢祐一事務局長も「若い落語家が生活していけない」と窮状を訴えた。
一方、鳥取県は11日、業務委託ではない人を対象に国と同額の1日4,100円を補償する独自の支援策を発表した。子どもの休校で仕事を休んでいるという条件は国と同じだが、個人タクシーの運転手や個人商店主、飲食店主らを想定する。県商工政策課は「地方と大都市圏は働き方も異なる。きちんと支援の網を掛けていきたい」と説明している。
(北海道新聞 2020.03.13)
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カテゴリ : 時事社会