参院選総括

第24回参議院通常選挙が昨日、投開票された。
今回は4つのテーマを設け、自分なりの総評を書いてみたい。
■全体情勢
各メディアの事前予測どおり、自民・公明・お維新・こころのいわゆる「改憲4党」で3分の2を占める圧勝となり、自ずと民進・共産・社民・生活の「(エセ)護憲4党」は惨敗という「当然の結果」となった。
とはいえ、全国32の一人区で擁立した「野党統一候補」は11勝21敗と善戦(?)したようだが、政策のすり合わせもせず、「打倒安倍」「改憲阻止」「安保廃止」というワンパターンな3点セットで共闘すること自体、野合そのものだった。
特に「暴力革命」を党是としながら「平和を守れ」と叫ぶ共産党の欺瞞体質にアレルギー反応を示す民進党議員も少なからずおり、この結果が限界だったのだろう。
メディアも野党も「改憲すれば戦争できる国になる。戦前回帰だ」との印象操作に躍起だったが、戦後70年も日本が平和だったのは決して9条のおかげではない。戦後の日本には他国に戦争を仕掛ける大義も理由もなく、また、世界広しといえど、米国の「核の傘」(日米安保)に守られている日本に喧嘩を売る国があるとすれば、隣国(特亜3国)ぐらいなものだろう。
それを、あたかも「9条があるから、どこも日本に手を出せない」と本気で考えている阿呆(某学生団体など)が多いから、左翼は国民に支持されないのだ。
■道選挙区
北海道選挙区に関しては、改選議席が2から3に変わり、当選確実の長谷川岳(自民)と徳永エリ(民進)に続き、3つ目をどちらが取るのかと関心を集めたが、急遽擁立された民進の鉢呂吉雄が、自民の柿木克弘を僅差でかわした。
柿木は知名度において、かつて「選挙の達人」と言われた鉢呂には及ばず、自民の道議を総動員されても札幌圏での鉢呂の知名度には勝てなかった。
私が政治評論家をしていた頃には道議会もよく取材したが、柿木の政策通ぶりは群を抜いており、国会議員として長谷川よりも適任者だと思うのだが、やはり選挙というものは政策や人格ではなく「知名度」が全てなのだろう。
■北海道新聞
公示前から、道新は「二大キャンペーン」を張り、一日も欠かすことなく紙面を埋めていた。
一つ目は「反安倍・反安保法制・改憲阻止」という、左翼野党と全く同じ主張。ありもしない可能性を現実味たっぷりに書き立て、読者の不安を煽る常套手段が一層パワーアップされていた。
二つ目は、選挙年齢が18歳に引き下げられたことに伴う「18・19歳は投票に行こう!」キャンペーン。関心を持たせるのは結構なことだが、先述の反戦記事との抱き合わせで自社のイデオロギーを刷り込み、野党に投票させようという意図が見え見えの記事構成。
まだ社会を知らない未成年に対する「洗脳」そのものだが、彼らの投票率はともかく、道選挙区で民進に2議席を取らせたのだから、全道の有権者に一定の効果はあったのだろう。
■選挙特番(テレビ)
国政選挙の投開票日だけはテレビが6台ほしいものだが、あいにく1台しかないもので恒例のザッピング。指が忙しいったらありゃしないわ…。
当選者や党首へのインタビューはどの局も積極的にしているが、印象に残ったのはTBSの竹内明アナとテレビ朝日の富川悠太アナ。いずれも安倍首相へのインタビューで
「なぜ選挙戦で憲法改正を争点にしなかったのか」
「民意を無視しているのではないか」
というトンチンカンな質問をしたが、
「改憲は国民投票で民意を問うのだから今選挙では争点になり得ない」
「まだ条文もできていない段階でどうやって議論するのか」
と簡単に論破されていた。
特に竹内アナに関しては、与党圧勝でよほど機嫌が悪かったのか最初からケンカ腰だったうえ、「憲法改正の手続きをよく理解されていない」と断じられ、みるみるうちに表情が鬼のようになっていった。富川の方も然りで、「法律と憲法をごっちゃにしている」と指摘されるとムッとした表情に…。
両者ともに「法改正」と「憲法改正」の違いが分からず、やり込められると感情をコントロールできないあたり、キャスターの資質としていかがなものか。
そして、池上彰。自身の冠番組で創価学会と公明党との関係を取り上げ、党首に対し「(憲法の)政教分離に反してないか」という素人のような質問をぶつけるのが恒例なのだが、今回も「お約束」だったようだ。
池上のインタビューは「歯に衣着せぬ」姿勢が評判で、鋭い質問をして相手をたじろがせたり怒らせたりするのが特徴のようだ。しかし今回、新党大地の鈴木宗男に対しては「今は公民権停止中だが、自民候補の応援は選挙運動になっていないのか」という非常にお粗末な質問だった。
前回の衆院総選挙で、鈴木率いる大地は党を挙げて民主を応援し、娘の貴子も民主党公認しかも比例単独1位という厚遇で復活当選できたにも関わらず、この参院選では手のひら返しで自民側に回るという、政治家としての理念や整合性について問い糾すべきだったのでは?
まぁ、こういう質問は池上本人ではなくスタッフがリサーチ&レクチャーしているので、池上本人に期待しても仕方がないのだが…。
最後に、道選挙区コーナーについて。
各局の特番中で随時、道内局に切り替わり道選挙区の開票状況を伝えていたが、2議席は予定通りに自民・民進で分け合い、残る3議席目がどちらになるのかがなかなか決まらなかった。
そして、HTB(テレ朝系)がいち早く「鉢呂当確」を報じたのだが、鉢呂陣営は半信半疑で素直に喜べず。小1時間経った頃にNHKも鉢呂当確を打つと、やっと大歓声が上がった。確かに「一進一退の攻防」というつばぜり合いだったにせよ、HTBの分析力は信用されなかったということか…(笑)
◇
民主党(当時)に政権交代した時は本気で国外移住を考えたものだが、国民は3年ほどで目を覚まし、12年の総選挙で国家を取り戻した。以降、今回を含めた3回の国政選挙(補選を除く)でも自民政権は勝ち続け、日本国民の良識はまだ続いていると安堵している。
もちろん、自民党もロクな政党ではないが、消去法でかろうじて残る唯一の大政党であり、自民を敵視する野党は例外なく、日本国民にとって良くない思想を持っているので、これからも国民の良識は保ち続けてほしいものだ。
さて、次の関心は都知事選だ。もちろん私は都民ではないが、候補者の顔ぶれを見ると国政選挙以上のシュールさとレベルの低さを存分に堪能できる唯一の首長選挙だ。
世界第三位の経済大国である日本の首都のリーダーを決めるとは思えないほど対外的に恥ずかしい要素が盛りだくさんの一大お祭り騒ぎだが、遠い北海道の地で存分に堪能させて頂きます(笑)
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カテゴリ : 政治選挙