“風見鶏”ムネオ親子の「損得勘定」

鈴木宗男氏(左)と娘の貴子氏 写真(C)北海道新聞社
「主義」 「信念」 「矜持」
名のある政治家の中でも、元衆院議員の鈴木宗男氏(新党大地代表)ほどこれらの言葉に一貫性を感じない人物も珍しい。
4月の衆院道5区補欠選挙で共産党と選挙協力をすることになった民主党北海道に対し、それまでの蜜月関係を解消して三行半を突きつけ、一転して自民党支持に回った。そして当然の流れとして、長女の貴子衆院議員もそれまで所属していた民主党を離党し、次期衆院選での公認を前提に自民党との統一会派を結成するのだという。
前回の衆院選において貴子氏は、自身が副代表を務める新党大地が政党要件を満たしていなかったこともあり、比例名簿に載るための奇策として民主党から公認候補として出馬、しかも比例では「単独1位」という“当選確約待遇”を受けていた。そして、小選挙区で敗れたものの比例1位で当然ながらの復活当選を果たした。
そのような立場で任期途中の離党は許されず、「議席を返上せよ」という民主党側の理屈は至極当然で、貴子氏の「自身が集めたのは“大地票”だから返上の義務はない」という主張は屁理屈でしかない。道7区での“大地票”は貴子氏の名前を書いたのだろうが、比例票は全道から集まった「民主党」と書かれた用紙なので、およそ筋が通らない話だ。
だが、機を見るに敏な宗男氏は、これまでは親の敵(かたき)のように批判してきた自民党が、何だかんだと言われながらも今夏の参院選も勝利することを確信し、「民主党の変節」をダシにしてまんまと勝ち馬に乗った…と私は見ている。そして、そこからは国家や国民の利益などではなく、「己と娘の今後」という損得勘定しか見えてこないのだ。
貴子氏にしても、記者から過去の発言(自民党批判)との整合性を問われても何ひとつまともに回答できていない。もちろん自己矛盾は理解しているはずだが、父の意向が至上命令の彼女にとっては、ここはお茶を濁して嵐が去るのを待つしかないのだろう。
それにしても気の毒なのは、「昨日までは民主党だったが、今日からは自民党でよろしく」と投票行動を強制される“大地票”である。支持者ゆえ、鈴木親子に合わせるように風見鶏を演じなければならない心中、お察しします…。
鈴木貴子氏、民主離党へ
宗男氏長女、きょう表明 自民と統一会派視野
新党大地の鈴木宗男代表の長女で、民主党の貴子衆院議員(30)=比例代表道ブロック、大地代表代理=は25日、民主党を離党する方針を固めた。民主党が4月の衆院道5区(札幌市厚別区、石狩管内)補欠選挙で共産党との統一候補擁立を決めたことなどを受け、民主党で政治活動を続けることは困難と判断した。26日に離党届を提出し、記者会見する見通し。当面は無所属で活動するが、大地が5区補選と夏の参院選で選挙協力する自民党と統一会派を結成する方向だ。
自民党は大地との選挙協力を確実にするため、貴子氏が民主党を離党すれば、次期衆院選では自民党公認候補とする方針だ。ただ、国会法は比例選出議員の既存政党への移動を禁じており、貴子氏は衆院解散前には自民党に入党できない。このため安倍晋三首相と鈴木氏は24日に会談した際、次期衆院選での連携も念頭に近く統一会派を結成する方針で一致したもようだ。
(北海道新聞 2016.02.26)
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カテゴリ : 政治選挙