恥をさらした「国民にノーベル賞」

10月7日の朝日新聞(笑)
プロ市民グループが「憲法9条を保持する日本国民」をノーベル平和賞に推薦したトンデモ行動に、笑えないオチがついた。
去る10月の同平和賞受賞者発表前、オスロの専門機関がその「日本国民」を最有力候補とした件に関し、代表者が「対象者の意味を勘違いしていた。国民全体の受賞などあり得ない」旨を語ったという。(最後部に報道記事)
関連記事 : 「唯一の平和憲法」という無知と赤恥
参考記事 : 平和主義憲法を持つのは日本だけなの?
ノーベル賞の中でも、こと平和賞受賞者には物議を醸すケースが多く、選考基準も選考委員の主観に大きく左右される賞である。それは今年のマララ・ユサフザイさんも同様で、「銃弾から奇跡の生還」というファクターが多分に影響したのではないか…という疑念を抱かせたのも確かだ。
だが、受賞者の真剣な演説を聞くと、この工作団体の行動がいかに脳天気で恥知らずだったかがよく分かる。そもそも、日本国民が作ったわけでもない矛盾だらけの憲法を、私たちは「保持させられてきた」だけに過ぎない。国の安全保障というものを頭から無視し、感情でしか物事を考えられない「サヨク脳」のなれの果てが今回のオチというわけだ。
受賞の可能性を本気で信じて大騒ぎしていたメディア各社も猛省すべきだろう。世界の大半の国が憲法で「平和主義」を謳っていることを勉強し、「9条は世界に誇れる条文」などという幻想と勘違いを払拭してほしいものだ。
勘違いだった?「日本国民」にノーベル平和賞
今年10月のノーベル平和賞受賞者発表の直前、独自の受賞者予想で知られるオスロ国際平和研究所のクリスチャン・ハルプバイキン所長が、「憲法9条を保持する日本国民」を最有力候補に挙げて話題を呼んだ。
「日本国民」という名の団体が推薦されていると所長が勘違いしていたことが、本紙のインタビューで分かった。
所長は、有力候補としたのは「日本国民ではない。『9条を保持する日本国民』という名の団体が推薦されたと理解してきた」と述べた。推薦運動を行った市民団体の石垣義昭共同代表によると、推薦したのはあくまでも日本国民全体だった。
所長はまた、「ある地域の人々が(全体で)何らかの責任を負う存在となることはあり得ない」と語り、国民全体への授与は不可能との見方を示した。
一方、ノルウェー・ノーベル賞委員会のゲイル・ルンデスタッド事務局長も本紙の取材に応じ、「日本国民」の推薦を受理したことを認めた。その上で、国民全体に授与した前例がないことを指摘し、「だれが(授与式で)賞を受け取るのかとの問題が生じる。『日本国民』を推薦した人たちが安倍首相に懐疑的なのに、首相が賞を受け取るのか」などと話した。
9条の解釈などを巡り、「日本国民」を推す日本の市民団体側と政府が一体性に欠ける現状では、国民全体への授与は困難との認識を強く示唆した。
(読売新聞 2014.12.16)
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カテゴリ : 時事社会