迷走する朝日新聞の「自縄自縛」

朝日新聞は8月5日付の紙面で、いわゆる「従軍慰安婦問題」の根拠としていた聞き取り証言が虚偽だったとして、当時の記事を撤回した。(ただし謝罪せず)
ところが、同紙はこれに関する特集記事を組んだ週刊文春と週刊新潮(いずれも8月28日発売)の広告掲載を拒否したのだという。(→ 当該広告画像)
返す刀で、「両誌の編集人に抗議のうえ訂正と謝罪を求めた」ことを29日付の紙面で明らかにした。(→ 当該記事画像)
常日頃から「言論・表現・報道の自由」を振りかざしている張本人が、自らを批判する週刊誌の広告掲載は拒否するという「言論封殺」に出た。これで「クオリティペーパー」としてジャーナリズムを標榜しているのだから呆れるほかない。
両誌の広告には「これが朝日の正体」と言わんばかりの刺激的な記事タイトルが並んでいるが、己の読者の目にだけは触れさせたくなかったのだろう。だが、スポンサーでもある両誌にとってこの一件は、週刊誌としての「極上ネタ」を逆に提供してしまったことになる。
しかも、他紙がこの件を報道しており、もともと高くない信用は完全に失墜したと言えるだろう。こうした驕りの姿勢は他のスポンサーも敏感に察知するはずで、今度はスポンサー側からの出稿拒否が相次ぐ可能性は高い。
そして朝日の迷走は、これにとどまらない。
広告掲載を拒否した28日付の朝刊に「これぞ究極のダブルスタンダード」とも言える記事が隣り合わせに掲載されているのである。

要は、
「主張がどうであれ、検証実験で作れないのでSTAP細胞はない」
「検証結果がどうであれ、被害者の声があるので慰安婦問題はある」
…というもの。自己矛盾もここまで堂々とやれるのだから救いようがない。
「STAP細胞は存在しない」であろうことは、小保方氏が会見で「200回以上も作製に成功した」と言った時点で悟った人は多いだろう。そもそも論文通りの行程で再現できず、「コツやレシピが必要」と言った時点で、もはや化学ではない。
それはいいとして、慰安婦問題に関しては「被害者(元慰安婦)の証言」を懲りもせず根拠としているが裏付けがなく、所詮は「言ったもん勝ち」である。しかも、強制連行どころか「本人たちが望んで慰安婦になった」ことを証明する資料は以前から明らかになっているのだから、朝日の説得力は皆無だ。
この新聞は今後、どこに向かっていくのだろうか。「虚偽」「捏造」「改竄」「誤報」など同紙の代名詞が、さらに一般社会に広まるのは間違いないが、悪あがきも大概にしないと「廃刊」もいよいよ現実味を帯びてくるゾ…。
追記 (2014.09.02)
池上彰氏が原稿掲載拒否で朝日新聞の連載中止を申し入れ
ジャーナリスト・池上彰氏が朝日新聞に対し、連載「新聞ななめ読み」の中止を申し入れたことが明らかになった。朝日関係者が明かす。
「月に一度の連載『新聞ななめ読み』は、池上氏が一つのニュースについて各紙を読み比べ、その内容を自由に論評するもの。8月末の予定稿では、慰安婦報道検証を取り上げており、『朝日は謝罪すべきだ』という記述があった。朝日幹部が『これでは掲載できない』と通告したところ、池上氏から『では連載を打ち切ってください』と申し出があり、その予定稿はボツになったのです。これまでも同連載は、『朝日の記事は分かりにくい』、『天声人語は時事ネタへの反応が鈍い』などの批評を掲載しており、今回の反応は異常ですね」
池上氏本人に確認したところ、事実関係を認めた。
「連載を打ち切らせて下さいと申し出たのは事実です。掲載を拒否されたので、これまで何を書いてもいいと言われていた信頼関係が崩れたと感じました」
8月5、6日に朝日新聞が掲載した慰安婦報道検証記事について、謝罪が一言もないことがこれまで問題視されてきた。そんな渦中に、池上氏の「謝罪すべきだ」という論評を封殺していたことが明らかになり、今後、朝日新聞の言論機関としての見識が問われそうだ。
(週刊文春 2014.09.02)
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カテゴリ : 報道誹議