オヤジギャグすら「村八分」

致死率が非常に高い急性ウイルス性感染症「エボラ出血熱」の被害が西アフリカを中心に拡大し、感染は世界各地にも飛び火している。
そんな折、福井県立病院(福井市)の院長がこの騒動に関する記事を自身のフェイスブックに投稿した際、「ちなみにエバラは焼き肉のタレです」というオヤジギャグを披露したうえ、友人とのやりとりで「ズボラは私ですね」と応じるなどした経緯が新聞記事になり、批判が広がっている。
批判は「被害者が多数出ているのに、不謹慎だ」という主旨なのだろう。しかし、公立病院長という立場を考えれば軽率な書き込みには違いないが、そこまで批判されることなのだろうか。エボラ患者自体を嘲笑したわけでもあるまいに…。
東日本大震災以降、素人のネット上の発信に対して過剰反応する世論が特に大きくなっているようだ。震災後1ヶ月ほどはツイッターで楽しい話題でも呟こうものなら瞬時に炎上し、アカウントの閉鎖を余儀なくされた例が数多あった。
普段、他人の不幸など気にも留めないくせに、死者が多数出るような災害や事件が起きた途端、ネット上には「口だけ偽善者」が増殖する。そして見知らぬ他人の不用意な発言に目くじらを立て、「正義の鉄槌」と言わんばかりに寄ってたかって袋叩きにしている。
今回の「エバラ騒動」もその一例だろう。院長の行為を「不謹慎」の一言で片付けるのは簡単である。では、批判している連中は、西アフリカのエボラ患者たちのことが心配で夜も眠れない日々なのだろうか。「所詮は他人事」という意識は微塵も持っていないのだろうか…。
大きな話題になった「人の不幸」を利用して、己に向けられたわけでもない一般人の発言を攻撃する「村八分」風潮の方がよほど恐ろしいし、そうなることを分かった上で火種を蒔くメディアにも呆れるばかりだ。国民にとって大切な事実は何も報道しないくせに…。
思うに、この院長は普段から院内でオヤジギャグを連発し、医師や職員たちに苦笑されているキャラなのかも知れない。だとすれば、フェイスブックへの書き込みも「普段どおり」だったのだろうが、新聞記者とネット偽善者にロックオンされてしまったのは「災難」とも言える。
ただし、「全日本オヤジギャグ評議会(仮)」会長の私に言わせれば、「エボラ→エバラ→ズボラ」という一連のオヤジギャグは「中の下」といったところで、今後はさらなる精進が必要だ

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カテゴリ : 時事社会