「交通反則金」は貴重な収益源

これは正義の行使なのか、確執の余波なのか、ただの自己顕示なのか―。
京都府警のパトカーが緊急走行中に速度超過をしたとして、運転していた男性巡査長が兵庫県警に検挙されたそうな…。(最後部に報道記事)
「関西の警察本部は仲が悪い」という話を聞いたことがあるが、それ故に「縄張りを侵した」のがまずかったのだろうか…。何にせよ、仲間であるはずの警察官を道交法で検挙とは珍しい。さすがに覚醒剤や殺人などの反社会的犯罪ならば放っておけないだろうが、緊急走行中の速度超過であれば目をつぶるものだと思い込んでいた。
結果的に不起訴処分で事なきを得たが、書類送検するということは「起訴が前提」なわけで、この巡査長は危うく懲戒免職になる可能性もあったことになる。兵庫県警に言わせれば、「緊急走行+速度超過の理由としては弱すぎた」ということなのだろうが、警察官に対してもこうなのだから、捕まった一般ドライバーが泣いて頼んでも見逃してくれないのは当然だろう。
ところで、交通取り締まりの目的は言うまでもなく「事故の防止」と「円滑な交通の確保」である。しかし、その本質を無視した「努力目標」という名の検挙ノルマが課せられているため、「検挙ありきの取り締まり」が全国で横行しているのはよく知られている話だ。
今回のニュースを見て、私は10年前に道警交通機動隊・砂川分駐所と大喧嘩したのを思い出した。30代半ばになりながらの「若気の至り」ではあったが…。
詳しくダラダラと書く必要もないので端折って概略を説明すると…
1.平成16年9月23日19時前、砂川市内の国道12号線上において隠れて定点測定していた交通機動隊のパトカーに、16km超過の容疑で止められる。
2.走行時の詳細は割愛するが、検挙理由に納得できなかった私は青キップ処理を拒否。裁判で取り締まりの不当性を訴えるため、私は「事件化」を要求、現場検証の後に供述調書を作成して札幌地裁に書類送検された。
3.同時に、私も札幌地検に対し「必ず起訴してほしい」と上申書を送付したが、結果は不起訴(起訴猶予)処分となり終了。刑事処分(罰金)は見送られたが、行政処分(違反点数の累減)は撤回されずという不本意な結果になった。
自営業の独身という「失うものがない」状況だったとはいえ、望んで刑事被告人になろうとしていたのだから思い返すと苦笑する。だが自分の性格を考えると、また同じ状況に遭遇すれば同じことをするんだろうな…。
それにしても、昭和42年に警察庁から全国の警察本部に発付された「依命通達」はもう無効になっているのだろうか…。
(一部抜粋)
1)交通取締り指導のあり方
交通指導取締りにあたっては、いわゆる点数主義に堕した検挙のための検挙あるいは取締りやすいものだけを取締る安易な取締りに陥ることを避けるとともに、危険性の少ない軽微な違反に対しては、警告による指導を積極的に行うこととし、ことさら身を隠して取締りを行ったり、予防または制止すべきにもかかわらず、これを黙認してのち検挙したりすることのないよう留意すること。
交通違反(反則金)が「ドル箱」である以上、警察官としての欲望が最優先なのだろうが、それにしても現場の裁量権が強すぎるような気もするが…。
スピード違反:145キロで緊急走行…パトカーに赤切符
赤色灯を点灯しサイレンを鳴らしてもスピード違反で赤切符――。京都府警高速隊員が運転するパトカーが兵庫県内の高速道路で緊急走行中、速度違反自動監視装置(オービス)に速度45キロ超過と測定され、兵庫県警に道路交通法違反(速度超過)容疑で検挙されていたことが27日、分かった。府警は5月中旬、このパトカーを運転していた20代の男性巡査長を所属長訓戒、同乗の40代の男性巡査部長を本部長注意とした。警察庁によると、緊急走行中のパトカーが速度違反で検挙されるのは極めて異例という。
◇兵庫の高速道路で
府警などによると、2人は2月2日午後2時50分ごろ、高速道路上で発生した当て逃げ事故の通報を受け、事情を聴くために通報者が待機する中国自動車道西宮名塩サービスエリアに向けて急行。その際、高速道での緊急時最高速度が時速100キロ(取り締まり地点の法定速度は80キロ)だったのに145キロで走行した。府警高速隊は「被害の全体像が見えない中、一刻も早く通報者の元に到着しようとしてしまった」と説明している。
道交法では、交通違反車両の取り締まりや凶悪犯の追跡など、警察車両の緊急時最高速度の超過を例外的に認めているが、検挙した兵庫県警では「現場に早く到達しなければならない緊急性があるなら、他府県警と連携すればよいことで、速度超過の正当性はない」と判断。3月14日に神戸区検に書類送検し、同区検は同25日に不起訴処分(起訴猶予)とした。府警監察官室は「再発防止に努める」とコメントした。
(毎日新聞 2014.06.28)
- 関連記事
-
- 「放射“脳”」の思考回路 (2014/07/10)
- 私がサッカーを観ない理由 (2014/07/08)
- 「交通反則金」は貴重な収益源 (2014/06/28)
- サッカーW杯 すでに悲喜こもごも (2014/06/16)
- SNSは人の心を豊かにしているのか (2014/06/11)
カテゴリ : 時事社会