事件発生 → 「規制します!」(キリッ)

昨日、AKB48の握手会でメンバーら3人が凶器を振り回した暴漢に襲われたらしく、今日のテレビメディア(下世話なワイドショー系)は上を下への大騒ぎだ。…とはいえ、彼女らを本気で心配しているのではなく、いかにも「人(AKB)の不幸は蜜(視聴率)の味」という印象だったのは当然だが…。
秋元康は相変わらずの握手会商法でボロ儲けしているようだが、あまり知名度のないメンバーの握手会では入場時のセキュリティも甘く、手のひらに白濁した液体が付着していないかどうかの確認程度だったという。(おいおい…

また、最近は公式の握手会サイトで(事実上の)「握手してやる条件10ヶ条」が告示されて話題になったようだ。その中身はというと、「手を洗え」「鼻毛は出すな」「口臭は消せ」「体臭も消せ」などの一般的なエチケット。いやはや、AKBもいろいろな意味で大変ですな…

それはともかく、この事件に関する一部報道で、次のような文言があった。
「犯行に使われたと思われるワイヤー型ノコギリも特定されており、この事件を受けて販売規制される可能性も出てくる」(ガジェット通信)
あくまで「可能性」の段階だが、何かあるとすぐに「規制」でお茶を濁す日本社会の悪いクセがまた始まりそうだ。
様々な文化や表現が大らかだった80年代頃に比べ、今の日本社会は世知辛く殺伐としている。その一因となっているのが、何か事件があると出てくる「排除の法則」だろう。それは「モノを憎んで人を憎まず」という独特の価値観である。
ざっと思い出すだけでも、次のようなものがある。
・蒟蒻畑で喉を詰まらせ死亡 → 販売規制
・ユッケやレバ刺しで食中毒 → 販売規制
・3Dプリンタで拳銃製造 → プリンタを販売規制(検討中)
・福島第一原発事故 → 国内全原発の運転停止
対策を講じるのではなく「末梢してしまえ」という“クサいものにフタ”の論理である。例えば、「映画館内で無差別殺人。凶器は包丁」という事件が起きた場合、包丁は販売禁止になり、全ての映画館に金属探知機が設置されるという極端な「警戒社会」になりかねない。
技術革新や社会の変化によって淘汰されるなら仕方ないが、想像力が欠如した役人によって消されていくのは国民にとっては何のプラスにもならない。社会が受ける「恩恵」と「害悪」を天秤にかけた議論をしてほしいものだ。
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カテゴリ : 時事社会