元祖ブラック業界

アニメ制作会社の元社員男性の自殺が労災認定され、月600時間労働という業界の実態が話題になっている。(最後部に報道記事)
最近はワタm…もとい、飲食系などを中心とした「ブラック企業」なる言葉が何かと取り上げられるが、アニメや漫画はもちろん、ウェブや広告デザインなどクリエイターらの長時間労働が昔から当たり前という風潮の「元祖ブラック業界」だ。
仕事の性質上、作品を「手分けして作る」ことが難しいというのも一因ではあるが、いちばんの原因は「無茶な納期」である。軽々に「無理っス」とはいえない立場のため、プライベートはもちろん、睡眠や食事、時には生理現象まで犠牲にして作り上げなければならない。
また、日本人ならではの生真面目さと責任感も相まって、そのような状況下でも手抜きをしないことが、より一層の肉体的かつ精神的な負担になるのだ。
かくいう私の場合も同様だった。
独立した現在でこそ口八丁(?)により無理のない納期で仕事を頂くようにしているが、かつて勤務していた印刷会社の営業とクリエイティブは別部門。営業から「これ、納期は3日後ね。よろしく」と言われた瞬間から「ブラックタイム」が始まり、その3日間は会社に泊まり込むというケースなど日常茶飯事だった。
「デザイナー」やら「クリエイター」などというカタカナ職業。世間から見れば華やかなイメージがあるかも知れないが、それはファッションや工業製品など商品化して不特定多数に販売できるケースに限られる。
受注生産、つまり「そのクライアントにしか売ることができない」デザイン業界では、多くのクリエイターらが「社畜」として消耗しているという現実を、少しは知って頂きたいものである。
以上、業界を代表した愚痴でした

アニメ制作社員の自殺 クールジャパン支える「月600時間労働」の衝撃
アニメーションは、日本が世界に誇るポップカルチャーの代表格だ。ところが先週、平成22年に自殺したアニメ制作会社の元社員男性=当時(28)=が、過労による鬱病が原因と労災認定されたことが伝えられ、月600時間労働という過酷な実態が明らかに。「クールジャパンの底辺が、こんなにきついとは」と、衝撃が改めてネットに走った。
亡くなった男性は、東京都杉並区のアニメ制作会社の元社員で、平成18年から21年12月まで正社員として勤務。制作進行と呼ばれる現場の調整役を務め、人気アニメ「おおきく振りかぶって」「かんなぎ」などに携わった。過労で鬱病になり、通院したが、退職後の22年10月に自殺。新宿労働基準監督署が労災と認定した。
遺族側代理人の弁護士によると、会社にタイムカードで労働時間を管理する仕組みはなかったが、通院先のカルテには「月600時間労働」との記載があり、残業時間は多い時で344時間に上った。家に帰れないこともしばしばで、残業代が支払われた形跡もなく、7日間連続で会社に泊まったり、3カ月休みがなかったこともあったという。会社側は「労災認定を真摯(しんし)に受け止め対応していく」とのコメントを発表した。
(産経新聞 2014.04.25)
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カテゴリ : 経済産業