朝日新聞の写真が不自然

グラフィックデザイナーという仕事柄、特に商業広告においては写真(画像)の加工や修正は日常的に行っている。というより、撮ったままの状態でレタッチせずに使用することなどあり得ないと言っても過言ではない。
しかし、報道写真となると話は別だ。「真実を伝える」という使命上、写真に手を加えることは許されない。あるいは、目的をもって加工・修正した旨を注釈として必ず伝えなければならない。
今朝の朝日新聞を読んだ際、1面に掲載の「太平洋の米軍 『敵』は中国」という記事に添えられた写真(冒頭画像)に、少しばかり不自然さを感じた。背景(住宅街)画像の上に、切り抜いた戦闘機の画像を乗せた、つまり「合成」のように見えるのだ。
では、どこが不自然だったのか…。

後部車輪の部分を拡大すると、タイヤの縁に沿って外側に加工痕のような現象が確認できる。タイヤは静止しているため、回転による空気の乱れではない。
また、真横からのアングルではないにせよ、正円であるタイヤの縁はきれいなカーブでなければおかしいのだが、2本とも歪(いびつ)に見える。特に右側のタイヤの右斜め下部分が不自然に凹んでいるように見えないだろうか。
そして撮影方法も気になるところだ。動いている被写体を撮る方法は基本的に「流し撮り」または「置きピン」しかない。前者は、被写体の動きに合わせてカメラを動かしながら撮る方法、後者は被写体が通過する場所に最初からピントを合わせ、通過の瞬間にシャッターを切る方法である。
だが、空中を飛ぶ航空機に「置きピン」は考えられない。だとすれば「流し撮り」しかないわけだが、その際は多少なりとも背景がブレるはずである。ところが、この写真の背景はブレが皆無なのだ。あるいは超高速シャッターだったのか…。
記事を読む限り、この写真の意味合いは「参考」程度であり、記事の核心部分だったり何らかの事実を証明する類のものではない。とはいえ、報道記事に添付される写真が万が一にも「注釈なしの合成」だとすれば大問題である。
何にせよ、これが合成であると断定はできないので、同紙の東京本社にメールで「問い合わせて確認を要請」してみた。それから約12時間が経過しているが、今のところ返答はない。…というよりスルーされる可能性の方が高いかも…?
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カテゴリ : 報道誹議