公職選挙法は解体・再構築すべし

画像:Ustreamより
選挙期間中の東京都知事選で、告示前の開催として東京青年会議所などの民間組織が企画した公開討論会が候補予定者の不参加により相次いで中止に追い込まれていた中、告示中の本日、インターネット事業者7社の合同主催で「ネット討論会」が開催された。(上写真)
私は一時期、道内首長選や国政選挙の道内選挙区で公開討論会の開催支援やコーディネーター(進行役)を務める立場だった(→ 参照)だけに、この意義は非常に興味深いものだった。
というのも、元来は公職選挙法(以下、公選法)第164条の3 第1項・第2項の規程により、告示(以下、「公示」も含む)後の選挙期間中は、候補者以外の第三者が候補者を集めて公開討論会を主催することが禁止されているため、どうしても告示前に開催する必要があった。
だが、告示前では大きな選挙になるほど投票日までの日数が多く、有権者の意識も盛り上がりに欠けるというデメリットがあった。そのため、苦肉の策として告示後に認められている「個人演説会」を候補者の連名にて開催し、事実上の公開討論会として行う「合同個人演説会」という裏技を使って選挙期間中に開催することもあった。
ところが、ネット選挙の解禁により今回、この「タブー」が打ち破られたのである。
従来の公選法も「聴衆(一般有権者)が会場にいなければ、第三者が告示後に開催しても問題ない」という解釈があった。これに「ネット解禁」という改正が、このおかしな解釈に息を吹き込んだのだ。
つまり、実際の討論会場には報道関係者しかいないのだが、この模様をネット配信することで多くの有権者が自宅や職場で政策討論を聴くことができるようになった。これ自体を目的とした改正ではないものの、結果的に「日本の選挙」として考えると非常に画期的だったことは間違いない。
ただし、これは「法律の条文を組み合わせたら可能になった」というだけの結果論であり、では会場に聴衆がいたら問題があるという公選法の考え方は変わっていない。これまで幾度もの改正が繰り返されてきたものの、もう60年以上前(1950年)に初公布されたこの法律は、やはり根本的に時代と合わないのだ。
候補者にとっても有権者にとっても理不尽かつ無意味な規制は未だ多く、日本の選挙運動が国際的には奇異な目で見られている所以でもある。一度、現在の公選法を全て解体し、一から再構築してみればいい。政治や選挙への関心度も変わり、投票率も大きく上がるような気がするのだが…。
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カテゴリ : 政治選挙