「シャケ弁」終了か…?

一連の食品偽装表示問題に関して昨日、消費者庁によるメニュー表示ガイドライン案の意見交換会が行われたそうだ。(最下部に報道記事)
その中でも、不適切な表示を具体的に例示されたひとつが「鮭」である。我々がよく目にする「シャケ弁当」や寿司の「サーモン」などに使われているのはサーモントラウトで、標準和名は「ニジマス」。これを「シャケ(鮭)」や「サーモン」と表示するのは問題なのだという。
ただ、ニジマスも『サケ属』に属する魚であり、ことさら問題視するのはいかにもお役所的な発想だ。問題の本質はあくまで「虚偽誇大表示」をして金を取っていた詐欺行為のはずで、世間は全ての食材に生物学的な名称の正確さを求めているわけではないと思うのだが…。
こんな考え方がまかり通ってしまうと、多くに代用魚が使用されている寿司ネタはどうなるのか。他にも…
鯛が素材ではない 「たい焼き」
焼かずにお湯を注ぐだけの 「焼きそば」
狐の肉が入っていない 「きつねうどん」
蟹が入っていない 「カニクリームコロッケ」
片栗の根のデンプンでない 「片栗粉」
…など際限がない話になってしまうし、食文化として定着している名称を大幅に変えることによる国民のデメリットの方がずっと大きいはずだ。
なにか事が起きると大袈裟に解釈し、これでもかというほどの規制をかける。「責任を取る」という言葉が大嫌いな役人の予防線なのだろうが、もう少し柔軟に考えられないものなのか。頭脳は明晰なのだから…
シャケ弁当はニジマス弁当? 食材表示案に困惑の声
シャケ茶漬けはニジマス茶漬けに?――。食材の虚偽表示問題を受け、消費者庁が昨年12月に公表したメニュー表示のガイドライン案について、外食業者や消費者団体などとの意見交換会が27日、東京都内で開かれた。業者側からは一部の食材について「すでに名称が定着しており、消費者が混乱する」などと異論が相次いだ。
消費者庁はガイドライン案で不適切な表示を具体的に例示。切り身を焼いた「シャケ弁当」やすしネタの「サーモン」などに使われることもあるサーモントラウトについては、標準和名が「ニジマス」であり、「サケ」や「サーモン」と表示するのは景品表示法上、問題があるとした。
意見交換会では、公益財団法人「食の安全・安心財団」(東京・港)の中村啓一事務局長が「ニジマスを海水養殖する技術の進歩でサーモントラウトが安定的に供給されるようになり『サーモン』の名称で定着している」と指摘。サーモンと表示しても「消費者に著しく優良と誤認させているとは思えない」と述べた。
外食大手の子会社で食品製造などを手掛けるコロワイドMD(横浜市)の井上真社長は「例えばお茶漬けやおにぎりにサーモントラウトを使った場合、メニューにどう書けばよいのか」と困惑の声を上げた。
ガイドライン案はロブスターを伊勢エビと表示するのも景表法上問題があるとした。これに対し、水産物輸入商社の代表者は「輸入ロブスターにはイセエビ類とザリガニ類の2種類がある。イセエビ類のロブスターを『イセエビ』と表示するのは認めるべきだ」と訴えた。
ガイドライン案で、牛の成形肉を用いた料理は「ビーフ(成形肉使用)」と表示するとされた。外食店のコンサルタント会社の担当者は「豚肉や鶏肉についてもガイドラインで説明すべきだ」と要求。同社によると「とんかつ」でも成形肉を使っている場合があるという。
一方、消費者側として出席した主婦連合会(東京・千代田)の佐野真理子事務局長は「消費者が何を食べているのか分からないのは問題。きちんとした名称を表示してもらいたい」と強調。「違反業者に課徴金を科す制度が必要」と規制強化を訴えた。
消費者庁の片桐一幸表示対策課長は「本日いただいた意見や一般からの意見募集(パブリックコメント)を踏まえて、できるだけ早く正式なガイドラインを出したい」としている。
(日本経済新聞 2014.01.27)
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カテゴリ : 時事社会