踊り子たちのメンタル

第22回YOSAKOIソーラン祭りが終了した。
札幌の初夏の風物詩としてすっかり定着しているイベントだが、市民による好き嫌いが真っ二つに分かれているのも相変わらずだ。「祭り」と銘打っているものの、本来の意味を指す「神事」ではなく、ただの「お祭り騒ぎ」という意見も個人的には分からなくもない。
「練習の音がうるさい」「化粧のために公衆トイレを占領する」「道を空けろと威嚇された」など、演者のマナーに対する苦情の声は多く、「だからYOSAKOIは大嫌い」と公言する市民は決して少数派ではない。そのため、実行委では今年初めて「マナーアップキャンペーン」を展開したという。
7か条からなるその内容は、とても成人した大人に対するものと思えないほどの「一般常識」という印象だが、祭りのイメージ悪化を食い止めるためには「なりふり構わず」のようだ。
確かに、祭り期間中に演者たちの素行の悪さを直接見た時には辟易したものだが、彼らの気持ちも実感として一定程度の理解はできる。…というのも、私自身も18年前(第4回)に踊り手の一人として参加した経験があるからだ。
大通公園のメインステージにしろパレードにしろ、演舞中はアドレナリンが大量に分泌され、まるで自身がスターにでもなったかのような心境になってしまうのだ。この「勘違い」が自己を誇大に評価してしまうと、「そこのけそこのけオレ様が通る」とばかりに「素人衆」を見下す心理が働き、社会人としての公共マナーすら忘れてしまう…と私は解釈している。彼ら(マナーの悪い演者)を擁護するつもりは全くないが、素人が大きな脚光を浴びるこの「ダンスコンテスト」にはそれほどの魔力があるのもまた事実ではある。
ともあれ、「学生の運営により純粋に踊りを楽しむ」という本来の趣旨から大きく逸脱し、完全に商業主義イベントに成り下がってしまった感のあるYOSAKOIソーラン祭り。参加チームも減少の一途のようだが、どこかで路線を修正しければ10年後には消滅しているのではないかな…。
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カテゴリ : 時事社会