ネット選挙が解禁されたけど…

インターネットを使った選挙運動を認める改正公職選挙法が19日、参院本会議において可決・成立した。これにより、今夏の参院選を皮切りに全ての公職選挙でインターネットの活用が認められることになった。
「ついに」というより「やっと」というべきか…。このコンピュータ全盛時代、しかも民主主義国としては世界第二位の経済大国でありながら、化石のような公選法に縛られ、前近代的な選挙運動を日本は強いられてきた。
元来、公選法は公平かつカネのかからない選挙を目的に運用されてきたはずなのだが、そもそもインターネットという存在を想定していなかったため、「文書図画に当たる」と解釈してきた。そのため、公示・告示日以降は候補者のウェブサイトやブログなどの更新は認められず、しかし過去の記事は読み放題というおかしな状態が長らく続いてきた。
また、選挙カーに関しては、走行中は政策を訴えることができないため、ただの「騒音装置」でしかなかったり、ネットを使えないため街頭演説の時間や場所の告知もままならないという不便も、今後は少しずつ解消されていくのだろう。
しかし、ネット解禁が「選挙運動」のため、つまり選挙期間中にしか活用されないのであれば、どれほど効果があるのか不透明だ。これまでも選挙の時にだけ、できもしない美辞麗句を乱発して当選した候補者がどれほど多かったことか…。
特に現職の議員や首長が再選を目指す場合、投票の目安になるのが「実績」であり、ウェブサイトやブログなどで情報発信されてきたものを参考にする…というのが有権者にとっては効果的な活用法であろう。
だが、政治家という生き物は「当選してしまえばこっちのもの」という意識が非常に強い。選挙中は市民の前での土下座も厭わないが、当選後は支持者以外の市民のことなど「下々(しもじも)」としか思わないものだ。
それは、議員のウェブサイトにも同様の傾向が見られる。初当選した議員らは当初、自らの議員活動を報告すべく意気揚々とウェブサイトを開設するのだが、数ヶ月と続かないケースが多い。
私は約2年前の2011年1月現在、4月の改選を前に北海道議会と札幌市議会における1期生議員のウェブサイトを総チェックし、ランキングしたものを道内の某月刊誌に寄稿した。これを読めば、いかに議員がネットを活用した情報発信を怠けているのかがよく分かるだろう。
選挙時にだけネットを最大利用し、当選後の議員活動がベールに包まれているようでは何の意味もない。今回、その寄稿した雑誌の記事を全ページ紹介するので、ネット選挙の在り方というものを改めて考えるキッカケにして頂きたい。
「道議・札幌市議1期生のホームページを総点検!」
・北方ジャーナル 2011年3月号
・調査および記事/山下 浩
・PDFファイル、A3見開き全6頁、約13MB
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カテゴリ : 政治選挙