断裁機は「快感機」?

【勝田製作所 SH HOW JMC7】
世間はGWを謳歌しているが、この業界は納期に追われる製造業、そう簡単に休めるものではない。所用で某印刷会社に顔を出すも、工場の職人さんたちは鬼の形相で機械を操作していた。何だか、昔を思い出すなぁ…。
かつて私が勤務していた印刷会社は、常に人手不足の状態だった。そのため、デザイナーとしての仕事の他に、時には車で納品に走り、時には工場で印刷機や製本機に向かったりもした。その工場業務でいちばん楽しく、そして責任重大だったのが「断裁機」(写真)の操作だ。
ちなみに、1枚から数枚程度の紙や布をハサミなどで切ることを裁断(さいだん)というが、このような機械で数百から数千枚という大量の紙を裁ち落とすことを断裁(だんさい)という。巨大な刃を数トンという荷重でギロチンのように落として切るのだが、操作としては次の動画のような感じだ。
印刷でも製本でも、断裁は工程として最終仕上げであるケースがほとんどだ。つまり、1mmでも切り位置がズレてしまうと印刷からやり直さなければならないシビアな作業なのだ。私自身も、10年間で5~6回やってしまった記憶がある。
だが、印刷製本の工程では、なぜか断裁に「快感」を覚えるのだ。動画のように一気に裁ち落とされる音と、失敗は御法度という緊張感が微妙なアドレナリンを分泌するのかも知れない。この作業だけは飽きもせず、常に楽しくやっていた。
取引上の付き合いで印刷工場に出入りすることはあっても、「ちょっと触らせて」というわけにはいかない。万が一にも、部外者に操作させて手首切断などという事故があってはならないからだ。
嗚呼、もうあの快感を味わえないなんて…

- 関連記事
-
- 嗚呼、哀愁の「持ち込みデータ」 (2012/09/04)
- 一字違いが大違い (2012/05/09)
- 断裁機は「快感機」? (2012/05/04)
- 個人事業の消費税 (2012/04/30)
- そろそろツラいぜ、舞台撮影 (2012/04/26)
カテゴリ : 業務関連