「マージャン摘発、パチンコ放任」の愚

私は賭博が大嫌いなため、パチンコやパチスロはもちろん、競馬や競輪などの公営ギャンブルにも無関心である。だが、年に数回ほど友人と囲む麻雀だけは別で、レートを設定して幾ばくかの金は動くが、大負けしても3千円程度のもの。それも含めて貴重なコミュニケーション手段のひとつとして楽しんでいる。
だからというわけでもないが、京都府警が賭博開帳容疑で雀荘や卓販売会社を摘発したというニュースには驚いた。(最下部に引用記事)
現在は、レートを入力すると単位が「円」で出る仕様の麻雀卓もあるため、法律を厳密に運用すれば「賭博開張」なのだろう。とはいえ、麻雀の多くは仲間内で金が回るだけの、ささやかな遊びである。また、雀荘も個人経営がほとんどで、一日あたりの客数や客単価など微々たるもの。
一方、違法性が指摘され、1店舗に数百とある台で10万円単位の勝負をさせ、光と音で強烈に射幸心を煽り、年金生活者・生活保護受給者・失業者・ニートの巣窟と言われ、精神病者や自殺者を生み、たまに子供が駐車場で死んでいるパチンコは黙認しているのに、今や衰退する一方の麻雀業者を摘発するという警察の姿勢はいかがなものか。
とはいえ、多くの警察OBが天下っている以上、パチンコ業界はこれからも安泰なのだろう。また、売上金の多くが北朝鮮に送金されているのも知られた話で、多くの経営者の「国籍」という事情も、権力が手出しできない所以なのだろう。
個人的には「害悪」としか思えないパチンコ産業は繁栄する一方で、社会に何ら迷惑をかけていない麻雀産業は潰されていく。おかしな世の中だ。
マージャン店:店舗激減に追い打ち、健全性に活路も
京都府警が摘発したマージャン店を巡る賭博事件が、業界全体に大きな波紋を広げている。多くのマージャン店が採用する営業スタイルをはじめ、普及している全自動卓まで違法性を指摘されたからだ。店舗数が激減する中、「健康マージャン」に活路を見いだそうとする店もある。【飯田憲】
昨年2月以降、府警は全国チェーンのマージャン店の従業員や運営会社社長を賭博開張図利容疑で逮捕。賭博開張図利ほう助容疑で全自動卓の販売会社社長らを逮捕し、メーカー社長も事情聴取した。
マージャン店は風営法に基づき、客から遊技料を受け取って場所を貸すが、違法な賭けを前提に、レート(持ち点数に対する賭け金の割合)表示を掲げる店は少なくない。全自動卓も進化して、レートの設定や店に支払う遊技料の計算までできる「点数精算機能」付きが普及し「店の5割近くが導入している」(業界関係者)という。
事件摘発は、従業員がレートを記したポケットティッシュを配ったのがきっかけ。府警は点数精算機能についても賭博利用の黙認と判断したとみられる。
全国麻雀業組合総連合会(横浜市)は事件を受け、約2,000の組合員にレート表示の自粛を要請。店側は全自動卓の点数精算機能を使えなくしたり黒テープで隠したりし、府警から改善指導を受けたメーカーも出荷済みの数万台について店側に対応を依頼した。
雰囲気が敬遠され、ゲームにも押されて、全国のマージャン店は11年末に30年前の3分の1の約1万2,000店(警察庁調べ)に減った。そこに事件は追い打ちを掛けた。横浜市内でマージャン店を営む男性(30)は「同業者にとって衝撃。どこでもやっているのに……」と困惑する。総連合会の要請後もレート表示を掲げる店は多い。
一方、マージャンは頭の体操になるとして全国健康福祉祭(ねんりんピック)で公式種目になり、女性やシニア層に人気が広がる。「賭けない。飲まない。吸わない」を掲げ、商機を狙う店も出てきた。総連合会の斉藤正理事長(67)は「事件を教訓に健全娯楽産業として社会貢献したい」と話している。
(毎日新聞 2013.01.08)
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カテゴリ : 時事社会