まかり通った「子供は害悪」思想

「ニンビー(NIMBY)症候群」という言葉をご存じだろうか。
“Not In My Back Yard”(自分の裏庭はダメ)の略で、要は「施設の必要性は認めるが、ウチの近所には建てないでくれ」という姿勢や主張を指す言葉だ。
いわゆる「迷惑施設」や「嫌悪施設」と言われるものが対象で、各種処理場、遊技場、刑務所、精神病院、葬儀・火葬場などが代表的だが、「幼稚園・保育園」もそのうちのひとつとされている。
千葉県市川市で今月開園予定だった私立保育園が、近隣住民の「子供の声でうるさくなる」との反対を受け、開園を断念していたことが話題になっている。
待機児童問題が深刻化する中で、新しい保育園の建設を排除する動きと、それに園側が屈したというニュースは大きな反響を呼んでいるようで、世間では総じて住民側の態度に疑問を呈する声が大きいようだ。
反対住民はほとんどが高齢世代のようだが、自身が子供だった頃のこと、自身も子育てをしてきたこと、そして今は自身の孫が幼保園に通っている頃であろうことを考えると「お互い様」という謙虚な気持ちが生まれようものだが、さにあらず。「自分だけは静かな環境で過ごしたい」という我欲を貫き通し、何ら違法性のない健全施設を建設中止に追い込んだ。
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