関連記事: 結婚って幸せですか?(2012.10.8)クリスマスイブである。すでにアラフィフの域に達している私にとってはすっかり縁遠いイベントになってしまったが、繁華街には関連ソングが流れ、「この世の春」を謳歌するアベッk…じゃなくてカップルが溢れていることだろう。
もちろん、イエス・キリストの降誕を記念するという意識はなく、
「家族や恋人と絆を確認し合い、幸せを噛みしめる日」という位置づけである。それだけに、世間ではいわゆる
「クリぼっち」への忌避感が非常に強いようだ。
だからなのか、特にこの1~2ヵ月の婚活(恋活?)市場は
「クリスマスまでに相手を」とばかりの大盛況だったという。そこまでして…という気もするのだが、当事者にとっては
「その先の結婚」も見据えた一大事なのだそうだ。
そして、この「婚活ブーム」は一過性のものではなく、もはや社会問題ともいえるほど深刻な状況なのだという。
「結婚は縁のもの、子供は授かりもの」という言葉があるが、バツイチ歴21年、いまだ結婚(再婚)恐怖症の私にとっては、この
「縁を円で買う」という心理があまり理解できない。
婚活市場とは、
焦燥感が芽生えるまで縁に恵まれなかった男女のためのマーケットで、今や急成長産業の筆頭とも言える。しかし、めでたく成就(結婚)するために不可欠な
基本要素である「愛情」「相性」はそっちのけで、およそ似つかわしくない言葉が飛び交う世界のようだ。
その言葉とは…そう、
「スペック」(条件)である。
男性よりも女性の方が相手に求める条件は厳しい傾向にあるようだが、
断トツの必須案件が「年収」(または財産)なのだという。中には
「最低でも800万円、できれば1千万円超」という血迷った希望を、(自らのスペックはさておき)当然のような顔をして突きつける強者もいるそうだ。
YouTubeには、現代の婚活事情をレポートする動画が溢れている。とはいえ、ほぼ全てがテレビ番組からの転載なのだが、
テレビならではのデフォルメ・誇張・仕込み(やらせ)があるという前提に立ってさえも、あながち大袈裟とも言えない「オンナの本性」を映し出しているようにも思える。
経済産業省が公表しているデータによると、日本の企業数は約421万社。このうち、
30歳(適齢期)時点での年収別に支給している会社数はといえば…
・500万以上 → 約900社 (0.0002%)
・600万以上 → 約250社 (0.00006%)
・700万以上 → 約 70社 (0.00001%)
・800万以上 → 約 30社 (0.000007%)…なのだそうだ。これだけでも無謀な条件だということが伺い知れるし、それほどの男性で人間的にも魅力があれば、
すでに片付いているはずである。だが、
婚活事業者はそのような現実を教えてはくれない。それは言わずもがな、
婚活が長引いてくれるほど会費収入を維持できる「金づる」だからだ。
さすがに現実を思い知った頃から徐々に条件を緩和していくようだが、女性はそれを
「妥協」という言葉に置き換え、決して
「妥当」とは考えない。そうした心理の根源は「世間体を気にするプライド」に行き着き、男性に求める条件も「周りに対して恥ずかしくない」という基準でしか考えられなくなる。
つまるところ
「自分の幸せ」しか考えていないのだ。
私の友人に、妻は専業主婦、
夫の年収が約380万円という同世代の夫婦がいるが、二人の子供(大卒&短大卒)を無事に自立させている。世の婚活女性に言わせれば
「人間失格」と言われそうな年収だが、当人はそれを隠そうともせず、かつ良好な夫婦仲を維持しながら「親の大仕事」をやり遂げたのだ。
「金は天下の回りもの」と言われるように、無い人の所にもいつか回ってくる可能性はあり、逆もまた然りなのだが、「人格」だけはなかなか変わらないものだ。
金がある生活などはすぐに慣れてしまうが、相手に対する
不信や嫌悪という感情が芽生えると、その払拭は極めて難しい。
長年のおしどり夫婦に「円満の秘訣」を尋ねた時、
「もちろん銭よ、ゼニ!」と断言する妻はそう多くないだろう。やはり
最後に行き着くのは「人格」であり「相性」なのだ。そして、収入額と人間性には何ら因果関係が証明されていないのも事実である。
相手を心から愛し、一生を添い遂げたいという心理の本質は
「この人を幸せにしてあげたい」、「この人と一緒に幸せになりたい」というものだ。自分の欲望だけを希望条件として並べ、家具の品定めをするがごとく男を選ぶ商業婚活に
いちばん欠けているのが、この「常識」なのではないだろうか。
結婚相手を「スペック」という価値基準でしか測れない女性が本当の幸せをつかめるかどうかは疑問だが、
50代以上の中高年にして「(嫁は)20代に限る」と希望する男性も少なくないようなので、己の損得しか考えないという意味では「お互い様」なのかも…(笑)
おっと、こんな日までいつもの大放言は野暮というもの…

ではとりあえず、聖なる夜を祝いましょう。
Merry Christmas 