リスクなき「メジャー挑戦」

日本球界に「出戻り」する田中賢介 (2010.11.20撮影)
私が周囲に「99%の確率」として断言していた予想が、みごと的中した。
2年前、海外FA権を行使してメジャーに挑戦した元北海道日本ハムファイターズの田中賢介(33)が、古巣に復帰することになった。当時の「いつでも帰ってこい」という球団の社交辞令に対し、退団会見では「帰ってくる選択肢はない」と断言して自ら退路を断った…はずだったが、結局は帰ってくるのだそうだ。
2年続けてマイナーで開幕を迎え、メジャー試合出場は昨季のわずか15試合。今季に至っては7月に早々と自由契約となったが、ここでプロの意地とプライドを見せて「挑戦し続ける」のではなく、ぬるま湯の日本球界に尻尾を巻いて逃げてきた格好だ。
個人的に、日ハム時代から賢介は「器用な選手」という評価ではあったが、さすがにメジャー挑戦という一報には驚き、「また一人、身の程知らずが海を渡るのか…」と呆れたものだ。しかも、日米の実力差がいちばん顕著な「内野手」として行ったのだから、こういう結果になるのは火を見るより明らかだった。
日本球界は「メジャー帰り」という“箔”が大好きで、夢破れた都落ちを歓迎して迎える体質である。賢介の場合も、15試合とはいえメジャーの試合に出場した以上、この看板を臆せず利用することだろう。まして、「選手を甘やかすファンと地元メディア」としては12球団随一(私見)の日ハムに戻るというのだから、これほど楽な逃げ道はない。
カテゴリ : 時事社会