永遠も半ばを過ぎた

フリーデザイナー兼カメラマンの苦言・放言・一家言

本質分からぬ共同通信の「本末転倒」

2014/12/28(日)
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写真(C) 産経新聞社


関連記事: 呆れた「お涙頂戴」記者会見 (2014.04.11)

「STAP狂騒曲」が、ついに終焉した。理化学研究所の調査委員会が26日に発表したSTAP細胞に関する最終報告書によると、論文でSTAP細胞由来とされた細胞は、既存の万能細胞であるES細胞(胚性幹細胞)だったとし、「STAP論文は、ほぼすべて否定された」と結論付けたという。

1月に「世紀の大発見」として論文が発表されて以来、今年はまさに「STAP細胞漬け」の年だった。その結果はというと、膨大な公金(研究費)をドブに捨て、日本の科学技術への信用失墜という「置き土産」を残したまま、小保方晴子氏は自身の口で総括することなく理研をさっさと退職して逃げ切った。

理研も含め、世界に向けて発表したことの結果に対するケジメとしてはずいぶん甘い自己完結のようだが、各方面からの寄せられる当然ながらの(小保方氏への)批判に対し、共同通信が次のような記事を発信した。

「一連の騒動が、寛容さを失っていく社会の風潮を象徴している」
(最後部に全文転載)

共同通信といえば、これまでも論点のすり替えや印象操作といった手法で国民を欺く記事を全国の地方紙に垂れ流してきた実績があるが、自らのオピニオンでも本質を履き違え、科学の問題を“情緒”に置き換えてて解釈している。

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同記事内では、「まだ誰もやっていない成果を追い求めるのが科学者。 断罪するようなことは絶対に良くない」という“(なぜか)文芸”評論家の声も乗っているが、本末転倒も甚だしい考え方である。

誰も「失敗を許さない」とは考えておらず、データの捏造や改竄といった「嘘」を断罪しているのだ。しかも、そこに性別は関係ないはずなのだが、共同通信のスタンスはまるで「可哀想だから若い女性をいじめるな」と言わんばかりのセンチメンタリズムである。

そして、この思想自体、メディアが常日頃から毛嫌いし声高に叫んでいるはずの「男女差別」「女性蔑視」そのものであり、おそらく男性であろう記者の「男目線」ならではの思考だということに気付いていないようだ。

そもそも、科学の専門的視点から切り込める記者がいない日本のメディアが、理研の演出に丸乗りして「リケジョ」だ、「割烹着」だ、「ペットは亀」だと、幼稚で非科学的な大騒ぎをしたことにも騒動を大きくした原因があるはずなのだが、共同通信はまるで他人事のように、したり顔で世論を諭している。

また、論文の不正が指摘され、世論が賞賛から批判に転じ始めた途端に弁護士を立て、逃げるように表舞台から消えようとした小保方氏の行動も決して誠実とは言えず、これも含めて「許してやれ」と総括する姿勢は報道機関として危険ですらある。

「失敗には寛容であるべきだが、不正は断罪すべき」

この本質が分かっていない通信社が日本中の新聞に記事を配信しているのだから、読まされる国民も気の毒としか言いようがない。日本のメディアのレベルは、いつになったら「普通」になるだろうか…。


【STAP問題】 厳しい目、寛容さを失う社会を象徴か  騒動の背後に

「夢の細胞」をめぐる一連の騒動は一体、何だったのか―。26日、理化学研究所の調査委員会は小保方晴子(おぼかた・はるこ)氏(31)による捏造(ねつぞう)をあらためて認定し、STAP細胞がなかったことはほぼ確実とした。前代未聞の不正に社会は揺れ続け厳しい目が向けられたが、寛容さが失われた今の時代の断面が表出したとみる識者もいる。

「『研究犯罪』とでも言うべき許されない行為。 多くの国民を振り回し、科学への不信感を抱かせた」。教育評論家の尾木直樹(おぎ・なおき)法政大教授は手厳しい。研究成果の発表当初は、再生医療の新たな展望が開けると大きな期待が寄せられていたことも重大視。「患者にいったん望みを持たせておいて、それを破壊した。こんな残酷なことはない」と批判する。

理研調査委の報告書については、全容解明には至らなかったが、「一つの着地点になったと思う」と評価。一方で、STAP論文共著者の一流の研究者が不正を見抜けなかったことも判明し、「科学の倫理はこんなにいいかげんなものなのか」と疑念を示した。

作家の雨宮処凛(あまみや・かりん)さんは「ふんわり系で、モテる女子を体現したような存在。科学の世界に希望の星として降臨した」と分析。問題がここまで世間の耳目を集めたのは、小保方氏本人の個性も作用していたとみる。

壁がピンク色に塗り替えられた実験室、 ムーミンのグッズや白衣代わりのかっぽう着は繰り返しニュースに。理系好きの女子を意味する「リケジョ」の言葉もちまたにあふれた。

だが、論文の疑惑発覚後、小保方氏に向かった強いバッシングには違和感を拭えないという。

「若い女性で成功した。報われない人が多い今の日本の社会で、一番たたきがいがある存在」。組織としての理研にも責任はあるはずなのに、「全ての責任を1人の人間に丸投げしている。楽な方法なのだろうが、あまりにもえげつない」。

文芸評論家の山崎行太郎(やまざき・こうたろう)さんは「まだ誰もやっていない成果を追い求めるのが科学者。断罪するようなことは絶対に良くない」と小保方氏を擁護。一連の騒動が、寛容さを失っていく社会の風潮を象徴しているように見えてならないと振り返った。

「正解しか許されない場所から、果たして世紀の大発見が生まれるだろうか」。今後多くの研究者が萎縮し、科学研究の現場に悪影響をもたらすかもしれないと危ぶんだ。

 (共同通信 2014.12.27)


カテゴリ : 報道誹議

堕ちた豪腕の「舐痔得車」

2014/12/26(金)


かつては「豪腕」の異名を持ち、「政治の中心に小沢あり」とまで言わしめたスクラップ&ビルダーも、ついに落ちるところまで落ちたようだ。

小沢一郎率いる「生活の党」は先の総選挙で議席を減らし、衆参合わせた国会議員が4人となり政党要件を失った。このままでは来年の政党交付金がゼロとなるため、一時は無所属の盟友・亀井静香を引き込んでの政党復活を画策するも「バカにするな」と固辞された(一部報道)という。

そんな中で小沢は、電撃的に「あの」山本太郎参院議員を入党させた。それに際して党名まで変更したその名称は…

「生活の党と山本太郎となかまたち」

いやはや…なんとも雇用主(国民)をバカにした党名だが、1月1日時点の議員数によって億単位の政党交付金が国庫から支出されるかどうかの瀬戸際だったとはいえ、党首でもない個人名を党名に入れてしまうという愚挙に出た。

おそらく山本の意向(条件)を汲んでのことだろうが、国民の大多数は「そこまでするか」と呆れていることだろう。小沢のスローガンは「国民の生活が第一」だったはずだが、結局は「自分の生活が第一」だったようだ。

山本にしても同様で、懐に巨額のカネが入り、政党名として大っぴらに名前を売ることができる「一挙両得」だったのだろう。とはいえ、さすがにこのネーミングはふざけすぎで、彼の精神年齢の低さを見事に体現してしまっている。

それに、「なかまたち」とはいったい誰のことなのだろう…。他の議員は「生活の党」にカテゴライズされるのだから、考えられるとすれば支援者である「中核派」のことだろうか…。

と勘ぐられるのだから、せめて 「やまも党」 にすれば良かったのに…。

カテゴリ : 政治選挙

聖夜に思惟する「結婚観」

2014/12/24(水)



関連記事: 結婚って幸せですか?(2012.10.8)


クリスマスイブである。すでにアラフィフの域に達している私にとってはすっかり縁遠いイベントになってしまったが、繁華街には関連ソングが流れ、「この世の春」を謳歌するアベッk…じゃなくてカップルが溢れていることだろう。

もちろん、イエス・キリストの降誕を記念するという意識はなく、「家族や恋人と絆を確認し合い、幸せを噛みしめる日」という位置づけである。それだけに、世間ではいわゆる「クリぼっち」への忌避感が非常に強いようだ。

だからなのか、特にこの1~2ヵ月の婚活(恋活?)市場は「クリスマスまでに相手を」とばかりの大盛況だったという。そこまでして…という気もするのだが、当事者にとっては「その先の結婚」も見据えた一大事なのだそうだ。

そして、この「婚活ブーム」は一過性のものではなく、もはや社会問題ともいえるほど深刻な状況なのだという。「結婚は縁のもの、子供は授かりもの」という言葉があるが、バツイチ歴21年、いまだ結婚(再婚)恐怖症の私にとっては、この「縁を円で買う」という心理があまり理解できない。

婚活市場とは、焦燥感が芽生えるまで縁に恵まれなかった男女のためのマーケットで、今や急成長産業の筆頭とも言える。しかし、めでたく成就(結婚)するために不可欠な基本要素である「愛情」「相性」はそっちのけで、およそ似つかわしくない言葉が飛び交う世界のようだ。

その言葉とは…そう、「スペック」(条件)である。

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男性よりも女性の方が相手に求める条件は厳しい傾向にあるようだが、断トツの必須案件が「年収」(または財産)なのだという。中には「最低でも800万円、できれば1千万円超」という血迷った希望を、(自らのスペックはさておき)当然のような顔をして突きつける強者もいるそうだ。

YouTubeには、現代の婚活事情をレポートする動画が溢れている。とはいえ、ほぼ全てがテレビ番組からの転載なのだが、テレビならではのデフォルメ・誇張・仕込み(やらせ)があるという前提に立ってさえも、あながち大袈裟とも言えない「オンナの本性」を映し出しているようにも思える。

経済産業省が公表しているデータによると、日本の企業数は約421万社。このうち、30歳(適齢期)時点での年収別に支給している会社数はといえば…

・500万以上 → 約900社 (0.0002%)
・600万以上 → 約250社 (0.00006%)
・700万以上 → 約 70社 (0.00001%)
・800万以上 → 約 30社 (0.000007%)


…なのだそうだ。これだけでも無謀な条件だということが伺い知れるし、それほどの男性で人間的にも魅力があれば、すでに片付いているはずである。だが、婚活事業者はそのような現実を教えてはくれない。それは言わずもがな、婚活が長引いてくれるほど会費収入を維持できる「金づる」だからだ。

さすがに現実を思い知った頃から徐々に条件を緩和していくようだが、女性はそれを「妥協」という言葉に置き換え、決して「妥当」とは考えない。そうした心理の根源は「世間体を気にするプライド」に行き着き、男性に求める条件も「周りに対して恥ずかしくない」という基準でしか考えられなくなる。

つまるところ「自分の幸せ」しか考えていないのだ。

私の友人に、妻は専業主婦、夫の年収が約380万円という同世代の夫婦がいるが、二人の子供(大卒&短大卒)を無事に自立させている。世の婚活女性に言わせれば「人間失格」と言われそうな年収だが、当人はそれを隠そうともせず、かつ良好な夫婦仲を維持しながら「親の大仕事」をやり遂げたのだ。

「金は天下の回りもの」と言われるように、無い人の所にもいつか回ってくる可能性はあり、逆もまた然りなのだが、「人格」だけはなかなか変わらないものだ。金がある生活などはすぐに慣れてしまうが、相手に対する不信や嫌悪という感情が芽生えると、その払拭は極めて難しい。

長年のおしどり夫婦に「円満の秘訣」を尋ねた時、「もちろん銭よ、ゼニ!」と断言する妻はそう多くないだろう。やはり最後に行き着くのは「人格」であり「相性」なのだ。そして、収入額と人間性には何ら因果関係が証明されていないのも事実である。

相手を心から愛し、一生を添い遂げたいという心理の本質は「この人を幸せにしてあげたい」、「この人と一緒に幸せになりたい」というものだ。自分の欲望だけを希望条件として並べ、家具の品定めをするがごとく男を選ぶ商業婚活にいちばん欠けているのが、この「常識」なのではないだろうか。

結婚相手を「スペック」という価値基準でしか測れない女性が本当の幸せをつかめるかどうかは疑問だが、50代以上の中高年にして「(嫁は)20代に限る」と希望する男性も少なくないようなので、己の損得しか考えないという意味では「お互い様」なのかも…(笑)

おっと、こんな日までいつもの大放言は野暮というもの…
ではとりあえず、聖なる夜を祝いましょう。

Merry Christmas

カテゴリ : 時事社会

左翼メディアの限界と終焉

2014/12/23(火)
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「朝日新聞抗議デモ」の一コマ (写真はこちらより拝借)


朝日新聞による、いわゆる従軍慰安婦報道を検証していた第三者委員会が22日、報告書を発表した。一連の捏造報道や、同紙が8月5・6日に掲載した記事取り消しを伴う特集記事に関して厳しい批判意見が並び、改めて朝日新聞のスタンスや体質というものが浮き彫りになった。

この第三者委、メンバー7人のうち4人が朝日新聞や朝日新聞出版から著書を出版していることもあり、形式だけの「お手盛り報告」を危惧する向きも少なくなかったが、思った以上に客観的な調査報告だったようだ。

ざっと挙げるだけでも…
「裏付け調査がないまま記事を掲載」
「自己弁護の姿勢が目立ち、反省の態度もない」
「読者に向き合うという視点が欠落」
「事実だけでは記事にならないという認識」
「朝日の方向性に沿うように『角度』がつけられて報道」
「火のないところに煙を立てる行為」
「過剰なキャンペーン体質」
「物事を政府対人民の図式で考える傾向」
「論点のすり替え」
「『人権派』の一握りの記者が報道の先頭に立った」

等々、朝日にとっては耳が痛いであろう辛辣な言葉が並んだ。

朝日は第三者委の設置に伴い、これに関する情報をウェブ上に公開している。今回の報告を受け、社長名で「公正で正確な報道を徹底」を誓っているようだが、これを信じている人間がどれほどいるのだろうか。

そもそも、「公正で正確な報道を徹底」しなければならないのは社会公器として当然のことであり、それを自覚していながら確信犯的に捏造報道を行ってきたのが、この朝日新聞という「(自称)クオリティペーパー」なのだ。

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「いったい、どこの国の新聞なのか」と思わせる体質を持ち、日本と日本人が憎くて仕方がない新聞社だ。なので歴史を捏造してでも、世界中から日本人への憎悪を集めようと腐心してきた。

政府与党批判にしても、本来の「是々非々」という健全なチェック機能ではなく、憎悪感情による「自民党を潰す」という事実上の社是が元になっているだけにタチが悪い。その性質は系列のテレビ朝日にも十分に浸透しており、あの有名な「椿事件」(1993年)でも見事に証明してみせた。

このような異常メディアができてしまった遠因を紐解けば、日韓併合後に多くの朝鮮人が「自らの意志で」日本になだれ込んできた事実に行き着くと思われるのだが、長くなるのでここでは触れずにおこう(笑)

何にせよ、朝日新聞は紙面によって国家転覆を図ったにも等しい行為をしたのは間違いなく、刑事事件にならなかっただけでもラッキーだ。本当に反省しているのなら、一度「廃刊・解体」をしてみたらいかがだろうか。

今の国民はもう、自国を嫌悪する左翼メディアには踊らされないので…。

カテゴリ : 報道誹議

世襲は「イバラ道」?

2014/12/22(月)
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韓国・韓進グループの系譜 (赤丸が元副社長の趙顕娥氏)


アメリカのジョン・F・ケネディ国際空港を離陸する直前の大韓航空機内で起きた、同社副社長(当時)による「ナッツ・リターン事件」が、韓国内はもちろん、日本のテレビメディアも大喜びしながら連日報道している。

刑事事件に発展しそうだとはいえ、2週間以上も前に外国で起きた「くだらない騒動」を今になっても追い続けるほど報道価値があるかどうかは別として、日韓メディアの注目は「財閥と世襲に対する庶民の嫉妬」らしい。

韓国の10大財閥で国内GDPの約75%を占めているというのも呆れた経済構造だが、資質があるかどうかも分からない子供を無条件に役員に据え、一族で固めていることに対する庶民の羨望と反発はすさまじいようだ。

だが、そうした構図は韓国に限った話ではなく、戦後に解体された日本の財閥でも同様だった。「会社は所有物。他人には経営を委ねない」という“人情”は、まぁ分からないでもない。私自身も、かつては「跡取り候補」だったので…。

メインサイトのプロフィール欄(業務経歴)では「デザイナーとして印刷会社に約10年間従事後、独立」と謳っているが、正確には従事ではなく役員(常務取締役)として経営者側に立っていた。といっても、社員10名ほどの零細企業だったため、デザイナーとしてはもちろん、営業・人事・印刷製本オペレータなど「何でも屋」として業務の最前線に立っていた。

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役員就任の経緯は長くなるので割愛するが、「社長の息子」というだけで自動的に経営トップに就く世襲というものに懐疑的だった私は当初から「時限役員」として、4~5期(1期2年)で退任する腹づもりだった。

だが、取引先は「長男」の入社に概ね好意的で、何度となく「エラい」とまで言われてきた。少なくても個人事業ではなく、年商も億を超える「株式会社」なのだが、外部の目にとっては「家業を継ぐ跡取り息子」という存在だったのだろう。

結局は予定通り5期10年で辞任して独立の道を選んだわけだが、互いに取引をすることもなく、はや13年になろうとしている。収入も含め、独立が結果的に良かったのかどうかには言及しない(笑)が、少なくても「二世社長」というレッテルを免れたことだけは信念を貫けたと思っている。

会社の規模を問わず存在する「世襲」という価値観…。「初代が興し、2代目で傾き、3代目が潰す」という言葉もあるほどだが、初代が成功すればするほど苦労知らずのドラ息子が育ちやすい要素が増えるのは事実で、「鳶が鷹を生んだ」と言わしめる例はあまり多くはないようだ。

資質の有無に関わらず約束され、(極論だが)「人生の逃げ道」としてすらも利用できる「社長への道」だからこそ、世間の見る目は厳しい。今回のナッツ・リターン事件はさらに趙顕娥氏の「人格」についても糾弾され、国民感情を利用したメディアによる「村八分」が展開されている。

いやはや、セレブも大変ですな…

カテゴリ : 国際時事

リスクなき「メジャー挑戦」

2014/12/17(水)
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日本球界に「出戻り」する田中賢介 (2010.11.20撮影)


私が周囲に「99%の確率」として断言していた予想が、みごと的中した。

2年前、海外FA権を行使してメジャーに挑戦した元北海道日本ハムファイターズの田中賢介(33)が、古巣に復帰することになった。当時の「いつでも帰ってこい」という球団の社交辞令に対し、退団会見では「帰ってくる選択肢はない」と断言して自ら退路を断った…はずだったが、結局は帰ってくるのだそうだ。

2年続けてマイナーで開幕を迎え、メジャー試合出場は昨季のわずか15試合。今季に至っては7月に早々と自由契約となったが、ここでプロの意地とプライドを見せて「挑戦し続ける」のではなく、ぬるま湯の日本球界に尻尾を巻いて逃げてきた格好だ。

個人的に、日ハム時代から賢介は「器用な選手」という評価ではあったが、さすがにメジャー挑戦という一報には驚き、「また一人、身の程知らずが海を渡るのか…」と呆れたものだ。しかも、日米の実力差がいちばん顕著な「内野手」として行ったのだから、こういう結果になるのは火を見るより明らかだった。

日本球界は「メジャー帰り」という“箔”が大好きで、夢破れた都落ちを歓迎して迎える体質である。賢介の場合も、15試合とはいえメジャーの試合に出場した以上、この看板を臆せず利用することだろう。まして、「選手を甘やかすファンと地元メディア」としては12球団随一(私見)の日ハムに戻るというのだから、これほど楽な逃げ道はない。

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だが、若手の起用に固執するあまりベテラン勢を軽視し、挙げ句の果てに大引や小谷野に出て行かれたのが今の栗山野球。NPB復帰という「話題性」が薄れた頃には、また非情采配が待ち受けていることだろう。有無を言わさぬ実力で認めさせない限り、日ハムですら居場所がなくなるのは必至である。

「メジャーで大活躍するぜ!もう日本には帰らない!」
  ↓
「賢介ならやれる!がんばれー!」 (ファン、マスコミ)
  ↓
「レベルが高すぎたわ…やっぱ帰りまーす 」
  ↓
「おかえり!待ってたよー!」 (ファン、マスコミ)


なんのこっちゃ…という構図だが、更に呆れたのが、本日行われた入団会見で「(日ハム復帰の決め手は)ファイターズへの愛」と述べたことだ。これを男女関係に例えるなら、「他に好きな女(B子)ができた」として13年交際していた恋人(A子)に一方的に別れを告げたものの、B子に相手にされなくなった途端、「やっぱり愛しているのはA子だけや!」と言って復縁するようなものである。

「愛」発言はファンに対するリップサービスなのだろうが、その前に己の一貫性のない言動について言及・謝罪するのが社会人としての常識だと思うのだが、どうやら過去の発言は「なかった」ことになっているようだ。

結果的に何ら「リスクなき挑戦」だったことになり、およそ億単位の年俸を得るプロフェッショナルらしからぬ生き様である。とはいえ、このように批判するのは一部のひねくれ者だけで、ほぼ全てのファンと地元メディアは無条件に歓迎してくれるのだから、万事が結果オーライということなのだろう。

やれやれ…

カテゴリ : 時事社会

恥をさらした「国民にノーベル賞」

2014/12/16(火)
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10月7日の朝日新聞(笑)

プロ市民グループが「憲法9条を保持する日本国民」をノーベル平和賞に推薦したトンデモ行動に、笑えないオチがついた。

去る10月の同平和賞受賞者発表前、オスロの専門機関がその「日本国民」を最有力候補とした件に関し、代表者が「対象者の意味を勘違いしていた。国民全体の受賞などあり得ない」旨を語ったという。(最後部に報道記事)

関連記事 : 「唯一の平和憲法」という無知と赤恥
参考記事 : 平和主義憲法を持つのは日本だけなの?

ノーベル賞の中でも、こと平和賞受賞者には物議を醸すケースが多く、選考基準も選考委員の主観に大きく左右される賞である。それは今年のマララ・ユサフザイさんも同様で、「銃弾から奇跡の生還」というファクターが多分に影響したのではないか…という疑念を抱かせたのも確かだ。

だが、受賞者の真剣な演説を聞くと、この工作団体の行動がいかに脳天気で恥知らずだったかがよく分かる。そもそも、日本国民が作ったわけでもない矛盾だらけの憲法を、私たちは「保持させられてきた」だけに過ぎない。国の安全保障というものを頭から無視し、感情でしか物事を考えられない「サヨク脳」のなれの果てが今回のオチというわけだ。

受賞の可能性を本気で信じて大騒ぎしていたメディア各社も猛省すべきだろう。世界の大半の国が憲法で「平和主義」を謳っていることを勉強し、「9条は世界に誇れる条文」などという幻想と勘違いを払拭してほしいものだ。

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勘違いだった?「日本国民」にノーベル平和賞

今年10月のノーベル平和賞受賞者発表の直前、独自の受賞者予想で知られるオスロ国際平和研究所のクリスチャン・ハルプバイキン所長が、「憲法9条を保持する日本国民」を最有力候補に挙げて話題を呼んだ。

「日本国民」という名の団体が推薦されていると所長が勘違いしていたことが、本紙のインタビューで分かった。

所長は、有力候補としたのは「日本国民ではない。『9条を保持する日本国民』という名の団体が推薦されたと理解してきた」と述べた。推薦運動を行った市民団体の石垣義昭共同代表によると、推薦したのはあくまでも日本国民全体だった。

所長はまた、「ある地域の人々が(全体で)何らかの責任を負う存在となることはあり得ない」と語り、国民全体への授与は不可能との見方を示した。

一方、ノルウェー・ノーベル賞委員会のゲイル・ルンデスタッド事務局長も本紙の取材に応じ、「日本国民」の推薦を受理したことを認めた。その上で、国民全体に授与した前例がないことを指摘し、「だれが(授与式で)賞を受け取るのかとの問題が生じる。『日本国民』を推薦した人たちが安倍首相に懐疑的なのに、首相が賞を受け取るのか」などと話した。

9条の解釈などを巡り、「日本国民」を推す日本の市民団体側と政府が一体性に欠ける現状では、国民全体への授与は困難との認識を強く示唆した。

 (読売新聞 2014.12.16)


カテゴリ : 時事社会

私見:総選挙2014 (嵐過ぎて…)

2014/12/15(月)

写真(C) 産経新聞

衆議院議員総選挙が昨日、投開票された。野党第一党の党首の落選、維新の奮闘、次世代の惨敗、共産の躍進など野党勢の戦いぶりが興味深かったが、「与野党」という括りで見た勢力図は解散時とほぼ大差なく、選挙制度上は与党が国民に信任されたことになる。

今日は選挙結果について…というより、この総選挙をめぐるメディア・国民・政党の言動などに対する私見をキーワード別に述べてみたい。


  【大義名分】

今回の解散に対し、当初は「消費税増税の先送りを国民に問うため」という解釈もあったが、消費税法には政府が経済状況を見極めて増税の判断をする「景気条項」という付則があり、解散の理由には当たらない。強いて言えば「安倍政権の中間評価」という意味合いの方が強かったのだが、何にせよ05年の「郵政解散」のように明確なワンイシューではなかったのは確かだ。

とはいえ、解散前後の野党や反体制メディアは、まるで流行語大賞でも狙っているかというほど「大義なき解散」を連呼していたが、それはつまり「選挙には反対→現状維持を希望→政権是認」という自己矛盾だったことには最後まで気付いていなかったようだ。

先日のエントリでも述べたように、全方位が納得する解散総選挙などあり得ない。国民感情は別として、時の政府与党が議席加増または政権維持のため戦略的に解散を打つのは自然のことであり、その選挙を象徴するワンイシューが必ずしも必要なわけではない。民主党「大義がない」などという不満は単なる狼狽の表れであり、そして結果がそれを証明してしまった。

  【常在戦場】

議員の身分が6年間保障される参議院と違い、いつ解散総選挙があるか分からないという意味で、衆議院では「常在戦場」という言葉がよく使われる。

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09年の総選挙で民主党に政権を奪われた自民党は、直後から「政権奪還」を合い言葉に組織を立て直し、次の選挙に備えていたという。一方、12年の総選挙で惨敗して政権を明け渡した民主党はいつまでもショックから立ち直れず、先を見据えた戦略を立てられないまま今回の選挙を迎えた。

解散は往々にして「突然」なもので、前回の選挙から2年も経っていたというのに候補擁立が間に合わない選挙区が続出した。自らの準備不足を棚に上げ、敗戦の弁では「解散から公示までの期間が短かった」などという幼稚な言い訳しかできないのであれば、民主党はもう野党第一党である資格すらない。

  【低投票率】

今回の総選挙の確定投票率は全国で52.66%、戦後最低を更新したという。メディア各社はこぞってこれを持ち出し、「これでは民意を反映したとは言えない」として、選挙結果そのものの否定に走った。北海道新聞は「これで正当性ある政府を構成できるのかという疑念」を持ったそうだ。

だが、棄権という行動もある意味では「民意」ではないのか。確かに、有権者の半分が選挙に背を向けるというのは民主国家として異常事態だが、少なくても投票は「権利」であって「義務」ではない。投票しないのは有権者の勝手であり、それは「おまかせ民主主義」を行使したことになる。

「誰にも投票したくない」というケースも多いと思うが、そういう場合は白票を投じることで意思表示すればいい。それにも関わらず投票所に足を運ばないのは、特に30代以下に顕著な「政治や選挙には興味がないし、分からない」という理由によるものがほとんどだ。

若年世代が政治に無関心なのは昔からだが、それだけ「日本が平和で住みやすく、危機を感じない国」ということの証明でもある。だから投票もせず「消費税が上がった。ふざけるな」などと甘ったれた文句を言う国民が育つのだ。民主主義教育と民度の問題でもあるのだが、何にせよ投票率だけで国民の意思を論じるは単純に過ぎる。

  【白紙委任】

これもメディアが多用している言葉だが、要は「この選挙結果は国民が白紙委任したわけではない」という論旨で、北海道新聞も本日の社説で同様の主張をしている。大好きな民主党が09年の選挙で大勝して政権交代を果たした時、果たして道新は同じことを書いていただろうか。同じような事象に対して、単なる好き嫌いで論調を使い分けてはいないか。

要は「『暴走』することなく、きちんと国民の声を聞け」ということを言いたいのだろうが、どのような政策でも国民の意志が満場一致することなどあり得ず、だからこそ我が国は「議会制」という間接民主主義を採用しているのだ。国民の代表者たる「代議士」の選挙結果に対して「代議制を否定」するような主張をすること自体、自国の民主制を否定する暴言である。

「サイレント・マジョリティ(物言わぬ多数派)」という言葉があるが、対義語として「ノイジー・マイノリティ(声高な少数派)」がある。原発や集団的自衛権に反対する市民デモなどがこれに当たるが、左翼メディアは逐一これらを取り上げ、「これこそが大多数の民意だ」という印象操作をしてきた。さらに、より多くの国民に選挙された代表者らが与党となり、国会という議決機関を通じて政策を遂行するという至極当然のことに対しても「暴走」という言葉で片付けている。

今回の総選挙で、アベノミクスを筆頭としたこれらの政策が本当に「暴走」なのかどうかを国民に問うた結果、サイレント・マジョリティは改めて与党を勝たせたのである。また、前項でも述べたように「棄権」もひとつの民意であり、それこそ「白紙委任」という意思表示をしたことに他ならない。メディアが選挙結果に不満なのは理解できるが、言っていることは「論理破綻した難癖」だということは自覚したほうがいい。

  【日の丸】

投票前日の13日、赤旗の記者が次のようなツイートをした。

赤旗政治記者 @akahataseiji

安倍首相は東京・秋葉原駅前で最後の街頭演説。
陣営の運動員が日の丸の小旗を聴衆に配り、安倍首相が声を張り上げるたびに大きく振られた。 異様な光景となる。 (→ 画像)

赤旗政治記者 @akahataseiji

安倍首相の街宣風景の写真に「国旗を振って何が悪い」との反応も。
だが、こういう全体主義の時代があったことは知っておいたほうがいい。(→ 画像)

日本人が日本国旗を振っている様が異様に見えるという典型的な左翼思想だが、選挙の時はどの国でもやっていること。未だに日の丸を戦争と結びつけて嫌悪するというアイデンティティには呆れるしかないが、そんなに日本が嫌いなら「“日本”共産党」という名称も変えたらいかがだろうか。

世界中の国家は戦争の際、国威発揚のために国旗掲揚するのが当然で、日本も例外ではなかっただけのこと。何も戦争のために日の丸と君が代が作られたわけではなく、戦争時に「使用された」に過ぎない。それを分かっていて、なぜここまで自国旗を忌み嫌うのだろう。「赤旗以外は旗にあらず」なのか、あるいは旗ではなく「ゲバ棒」だったら満足なのか…。

何にせよ、共産党が全体主義を批判する自己矛盾…よく分かりません(笑)

  【右傾化】

この選挙結果を受け、韓国の主要各紙では日本の右傾化を懸念する論調が大半なのだという。産経新聞前ソウル支局長の起訴など、政府からメディア、国民に至るまで日本の保守勢力に敵意むき出しなのが現在の韓国だが、案の定という反応である。

日本の領土を軍事侵略している国民皆兵の極右国が他国の右傾化を心配するとは片腹痛いが、国家政策として御用メディアが代行しているいつものプロパガンダだ。世界的な価値観で考えれば、自民党のイデオロギーなど「ど真ん中」で、右傾化という言葉が適切なのは「維新政党新風」と「次世代の党」が議席の2/3を取った時ぐらいのものだ。

かつての民主党政権が左に寄り過ぎていたため、その反動として右に感じるだけだろう。それに、解散前の議席数と比較すると「自民→微減、次世代→激減、民主→微増、共産→躍進」ということになり、むしろ国会勢力はかなり左傾化したことになる。現政権を「右」と断じるのなら、そもそも日本の民意をそういう方向へ向かわせたのは誰なのか、よく考えるべきだろう。

カテゴリ : 政治選挙

「共産革命に犠牲はつきもの」

2014/12/11(木)


6日午前、大阪4区に立候補している日本共産党の清水忠史候補がJR森ノ宮駅前で街頭演説をしていた際、その目前で女性が倒れたにも関わらず演説を続け、拡声器の大音量により救急通報が遅れる騒ぎがあったという。

同党大阪府委員会はメディア取材に対し、「女性が倒れた際、演説を行っていたのは清水候補本人でなく係の者だった」「女性に気付いた清水候補は係の者に注意し、演説をやめさせた」と釈明するも、同委員会のホームページ上で公式に謝罪している。

すべきことをしたのならば何も謝罪の必要はなく、この言い訳に信憑性はない。写真の「ほっとけない気持ち 行動に」というスローガンが虚しく響くが、共産党は常日頃から「弱者の味方」を吹聴していたはず。また、原発や集団的自衛権に反対する際には「命」という言葉を金科玉条にして連呼していたはずだが、いざという時はこんなものか…。

目前で倒れている国民の命よりも党の主張を叫び続ける方が大切だとすれば、まさに「革命には犠牲がつきもの」という左翼思想を身をもって証明したことになる。二度と「命」などという言葉は使って欲しくないものだ。

参考として、救急通報した本人が克明に状況報告したツイートを以下に転載。

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@minimum44 ※現在はアカウント削除(させられた?)

拡散希望。
何回も思い返して、何回も納得しようと思ってもやっぱ無理!普通じゃない!人としてどうなの、って思うから、聞いてちょ。ちょっと長いけど。今月6日のお話。

大阪、森ノ宮に朝から用事で行ったときのことです。森ノ宮駅に着いたのは10時前。改札を出て、駅を出たところに女の人が手を強く押さえたままうつ伏せで倒れてて。で、その真ん前には堂々と選挙カーが止まって大音量で誰も聞いてないのに演説中。真ん前やで、真ん前。倒れてんの丸見えやのに。

で、倒れた人の側には蛍光緑のジャンパーを着たおばさん。倒れてる女の人を眺めてるけど声かけたりはせずに眺めてオドオドしてるだけで。その他は1,2人が立ち止まるも声かける気配なくて。私はまぁ、二三人立ち止まってるし救急車呼ぶやろうな~と思って通りすぎて信号待ちしてたけど

一向に誰も声かけやんから、戻って、緑の蛍光ジャンパーのバアサンに『どうしたん?救急車、呼んだん?』って聞くも『急にこけはった。』って言うだけで救急車呼んでなくて。で倒れてる女の人見たら、めっちゃ紫の小指を押さえてて『指繋がってないかも』って言うから、じゃあ救急車呼びますねーって

じゃあ救急車呼びますねーって言ったらその女の人は、大阪医療センターで働いてるからまずそっちに電話して欲しいと言ってきました。

で、女の人は携帯操作できる状態じゃないし私が女の人の鞄から携帯探して医療センターに電話かけるも、真ん前でまだ街頭演説してるもんやから、全く聞こえやんくて話通じなくて。わからんくて、で駅員に救急車呼べやら電話やらしてる最中、まーだ演説やめへんからプッチーンきて。

私がぶち切れるまで演説をやめてくれなかったっていうとこと。第一発見者が緑の蛍光ジャンパーのバアサンやのに眺めてるだけで何もしなかったってことと。真ん前で人が倒れてるのに、演説を続けたってことと。演説を中断してからも、演説がうるさくて電話で状況説明ができんところに『もう電話終わりました?』と聞いてくる無神経さと。

挙げ句の果てには『もう救急車来るんで、もう行きます』と行って、去ろうとしたこと。

日本共産党★清水ただし
このお方です。
共産党は国民の命と安全を守るらしいんですが、目の前で人が倒れてたらこうなんです。政策とかマニフェスト見ても余計腹立つわ(笑)
こんな政治家いやだ。


カテゴリ : 政治選挙

奏効しない「アナウンス効果」

2014/12/10(水)


衆院総選挙の公示後、共同通信などが何度か全国世論調査を行っているが、自民党の「300議席超」やら「単独3分の2」などという情勢予測は変化がなく、写真の北海道新聞など左翼新聞は文面からも落胆の色が見える。

この類の報道は、有権者への情報提供として必要な側面もあるが、反政府メディアにとっては「与党潰し」を狙うという側面もある。つまり、圧勝予測をすることで与党候補の慢心や気の緩み、あるいは有権者の「判官びいき」を誘い、暗に野党への投票を呼びかけるというものだ。

選挙では、しばしば「アナウンス効果」を期待する報道がされるが、これは主に「勝ち馬に乗る【バンドワゴン効果】」と、先述した「判官びいきを誘う【アンダードッグ効果】」に大別される。そして、メディアの期待が後者であるものの、実際の投票行動は前者になってしまうか、「自分の一票は大勢に影響がない」と判断して棄権してしまうことが多い。

なぜか―。答えは簡単、現在の選挙制度が「小選挙区制だから」である。

1993年の総選挙まで採用していた中選挙区制であれば、各選挙区で同じ政党から複数人が立候補でき、「上位◎名」として複数人が当選できるため、例えば「Aはトップ当選確実、Bは当落線上」という予測が出た時のAの支持者は「Aが確実だったら俺はBに入れてやるか」という気持ちが生まれやすい。

一方、小選挙区制は各選挙区で1名しか当選できず、候補者というより政党に投票する意味合いが強いため、前述のような現象は起きにくい。「苦戦している候補に入れても死票になってしまう」という意識が働き、「ならば勝ち馬に…」と考えるのだ。有権者は「勝ってほしい候補」に一票を投じるのだから当然である。

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アンダードッグ効果が見込まれない中で道新は、この公示中になりふり構わぬ「選挙運動」を展開している。社会面を大きく割き、アベノミクス・集団的自衛権・原発再稼働・特定秘密保護法などの政府政策を「悪」として取り上げ、一般人をダシにして感情に訴えるという露骨な印象操作によって「だから与党には投票するな」と読者にクギを刺しているのだ。

それは「読者の声」欄も同様だ。採用するのは政府与党批判の意見ばかりで、「私は集団的自衛権に賛成です」などという民意はゴミ箱へ直行である。幅広い意見を紹介するのではなく、読者という「他人」に己の主張を代弁させているだけなのだが、これはメディアの常套手段。その象徴が、テレビや新聞に登場する「有識者」で、自らの責任を回避できる便利な存在なのだ。

とはいえ、「では、どこ(誰)に入れるのか」となると他に選択肢がないのも事実。立候補者数を考えると、自民党のライバルになり得るのはやはり民主党くらいなものだが、あまりに無知で幼稚な政権運営によって国民は「地獄を見た」のだ。その記憶が消えることはなく、結局は「民主党よりずっとマシ」という消極的な理由によって自民党を支持する国民はかなり多いはずだ。

09年の総選挙時の民主党圧勝予測を報じた道新のハシャギっぷりは凄まじかったが、前回も今回も明らかに意気消沈している文面だ。放送法により、テレビには政治的な公平中立・客観報道が義務づけられているが、新聞にそういう縛りはない。もう「不偏不党」という偽りの看板は下ろして「民主党応援団」を社是として掲げてみたらどうだろう。気持ちが解放されると思うのだが…(笑)

カテゴリ : 報道誹議
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 山下 浩

Author: 山下 浩
 
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・札幌市在住 1967年生

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