「作家の矜持」と「人間の器」

「永遠の0」「海賊とよばれた男」などで知られるベストセラー作家・百田尚樹による、やしきたかじんの最晩年を綴ったノンフィクション「殉愛」が11月7日に発売されたのだが、特にAmazonのカスタマーレビューでは非難が集中し、炎上状態になっている。
同書は、たかじん自筆のメモや看病に人生を捧げたと主張する未亡人の証言や看護日記などに基づいて描かれた「かつてない純愛ノンフィクション」としてセンセーショナルに売り出された。発売日前後にはテレビ各局が再現ドラマで感動を演出するなど「電波ジャック」とも言えるほどのプロモーションを仕掛け、同書の販売を後押しした。
百田自身も「売れる手応え」はあったのだろう。発売日直前のツイッターでは自信満々に発売告知をしていた。ところが、百田の思惑とは正反対の方向へ事態は動いてしまったようだ。
Amazonレビューに続々と書き込まれた感想は、「これは完全な創作」
「たかじんは利用された」「死人に口無し」「未亡人の主張ばかりで何も取材していない」「未亡人は重婚では?」「やはり金儲けだけか」「都合の悪い情報は隠して美談に仕立てただけ」「たかじんの筆跡ではない」など批判のオンパレード。
ネットには、書籍に書かれていない未亡人の過去が証拠付きで次々と暴かれ(→ 一例)、当初から噂されていた「金目当て婚」説を裏付ける結果になってしまったようだ。これには百田も驚きを隠せず、仮にも金を払って読んでくれた読者の感想に対して「人間のクズ」「恥を知れ!」などとツイッターで逆ギレ罵倒。賛美と尊崇の声を予想していただけにショックは大きかったようだ。
カテゴリ : 時事社会