写真(C) 共同通信週刊誌がスッパ抜いた小渕優子経済産業相の「政治とカネ」問題だが、やはり辞任という形に発展した。「うちわ問題」で批判されていた松島みどり法相との、事実上の「セット辞任」である。(最後部に報道記事)
第二次安倍改造内閣の目玉として起用された女性5閣僚のうち、早くも2名が失脚する自体となったが、「女性」というだけでろくに身体検査もせずに起用したツケが回ってきたということだろう。
松島は論外として、そもそも小渕は「元総理の娘」という以外に能力や資質があったのだろうか。少なくても、議員としてのライフワークや信念を感じたことはなく、「政治屋」の典型例としか見えなかったのだが…。
それはともかく、今回のダブル辞任劇の原因は「女性ならでは」というものではなく、たまたま二人とも女性だっただけに過ぎない。だが、世間は「ほら見たことか」という印象を受けるのは避けられず、これによって安倍首相が看板政策に掲げた「女性の活躍推進」に傷がついた格好だ。
内閣府は以前から「2020年までに、指導的地位(管理職)に女性が占める割合を3割にする」という男女共同参画目標を掲げており、安倍自身も経団連幹部に対し「全上場企業が最低1人以上の女性役員を登用」するよう要請したこともある。こうした「始めに数値ありき」の考え方が、不適任者を登用して失敗に導いてしまうという好例を、安倍は自身の内閣で示してしまった。
女性であることだけを理由に管理職に抜擢するような人事では、企業も衰退に向かうだけである。責任ある立場でありながら、例えば「妊娠したから産休」「子供が熱を出して早退」「生理痛なので欠勤」などを繰り返されると、部下の士気はどうなるだろうか。
ずいぶん昔の話だが、あるテレビドラマ(タイトルは失念)で忘れられないセリフがあった。ある女性報道カメラマンの会社で、戦争国への取材班が組まれることになった時のやり取りだ。
女性 「私にも行かせて下さい!」
上司 「お前はダメだ!」
女性 「なぜですか!私が女だからですか!」
上司 「そうだ!」
女性 「体力には自信がありますから!」
上司 「じゃあ、何の囲いもない砂漠のど真ん中で小便できるのか!?」
女性 「………で、で、できます!」
上司 「アホ!他の連中が気を使うんだよ!戦場なんだぞ!」
女性 「ぐぬぬ…」 このやり取りに全てが集約されている。万事において男性優先というのは問題だが、やはり区別しなければならない場面は現実問題として存在し、完全な平等社会などはあり得ないのだ。しかも、平等を求めながら都合のいい時にだけ「オンナ」を武器にするタチの悪い女性もいるので困った話である。
人材登用の姿勢は
「資質がある人間を選んだら女性だった」で十分だし、それこそが「社会が求める男女平等」の真の姿ではないのだろうか。
参考記事 :
第二次安倍改造「性差別」内閣小渕経産相が辞任、松島法相も辞意 政権に打撃
小渕優子経済産業相は20日午前、関連政治団体の不明朗な収支を巡る問題の責任を取って、安倍晋三首相に辞表を提出した。後任は21日までに決める方針だ。松島みどり法相も地元選挙区で討議資料として「うちわ」を配布した問題を受けて辞任の意向を固めた。閣僚の辞任は2012年12月に第2次安倍政権が発足してから初めて。女性登用の象徴的な存在だった2閣僚の相次ぐ辞任は首相にとって大きな痛手だ。
小渕氏は首相官邸で首相と約30分間会談し「自らの問題で国政に遅滞をもたらすことは許されないので職を辞する」と伝えた。首相は受理し、経産相臨時代理に高市早苗総務相を充てることを決めた。
小渕氏は経済産業省で記者会見し「経産相の職を辞し疑念を持たれていることについてしっかり調査し、皆さまに示すことに全力を傾注したい」と表明。「経済の再生、女性の輝く社会の実現、その他様々な課題に、何一つ貢献ができなかったことを心から申し訳なくおわび申し上げたい」と陳謝した。
小渕氏を巡る「政治とカネ」の問題の中心は関連政治団体「小渕優子後援会」と「自民党群馬県ふるさと振興支部」が支援者向けに開いた観劇会に関する収支報告だ。小渕氏は記者会見で、1人11,000~12,000円の会費をとって、年に2,000人強が参加する観劇会を開き、会費は入場料、食事代、バス代に充てたと説明した。
政治資金収支報告書では参加者から集めたとみられる収入に対し、劇場側に払った支出が大幅に上回っている。参加費の一部を肩代わりしたとすれば、公職選挙法違反にあたる可能性がある。
小渕氏は記者会見で、観劇会に関する記載について「歴年の後援会の収支報告書の記載には大きな疑問があると言わざるを得ない。実費として徴収した収入が過小に記載され、不記載になっているものが多額に上っていると思われる」と釈明。弁護士や税理士ら第三者による収支報告書の内容に関し調査を進める意向を示したうえで、ずさんな資金管理について自身の監督責任を認めた。
自身が代表を務める資金管理団体による親族会社などへの支出については「公私の区別はしっかりついている」などとして問題はないとの認識を示した。
首相は9月3日の内閣改造で、自身が掲げる「女性が輝く社会」を進める意味からも、小渕、松島両氏を重要閣僚に起用した。目玉の女性2閣僚が「政治とカネ」の問題を巡って内閣改造から1カ月半で辞任に至った。首相は小渕氏との会談に先立ち、公明党の山口那津男代表に電話し「申し訳ない」と陳謝した。
菅義偉官房長官は記者会見で「大変残念なことだが首相は小渕氏の意思を尊重して辞表を受けとった」と語った。後任については「国政に遅滞が生じないよう速やかに選定される」と述べた。経産相を含めた重要閣僚を経験したベテランを対象に人選を進めているとみられる。
(日本経済新聞 2014.10.20)