点字ブロックを「ブロック」する撮影クルー上の画像は、ツイッターで拡散されていた、ある街角の風景。
「愛は地球を救う」のキャッチフレーズで知られる日本テレビ制作の
「24時間テレビ」。その撮影クルーが、横断歩道手前の点字ブロックを踏みつけている現場である。
さほど長時間でもないのだろうが、「この瞬間にも視覚障害者が歩いているかも知れない」とは考えていないのだろう。障害者を見世物にして感動を作っている番組にしては、あまりに思慮がなさすぎる光景だ。
フリージャーナリスト時代、いわゆる「取材陣」の一人として大手メディアと接してきた経験から学んだのが、テレビ関係者というのは「自尊」と「不遜」が服を着て歩いているようなもので、そのDNAは下請け制作会社のADにまで染みついているということ。一般人に対する敬意や配慮は皆無に近いのだ。
それも当然で、テレビ局にとっての「お客様」は広告代理店を含む「スポンサー」であり、視聴者などはゴミとしか思っていない。一般人への街頭インタビューにしても、交渉時には「テレビに出してやる」という態度が滲み出ている。
(NHKは事情が違うはずだが、なぜか本質は民放と変わらないのが不思議…)
ちなみに、24時間テレビの体質を物語る、知的障害者家族の手記を最後部に転載しているので、一読してほしい。
さて、冒頭でも触れた「24時間テレビ」だが、チャリティマラソンや集まった募金の使途などへの疑惑が取りざたされるのは毎年のこと。しかし、「どこ吹く風」とばかりに今年も30日から放送される。まずは、この悪質な偽善番組がまだ続いていることに驚きである。
チャリティ番組を謳いながら、番組側が出演者に高額ギャラを支払っていることはずいぶん前から「公然の秘密」とされてきたが、昨年に週刊誌が「嵐のギャラは5千万円」などと暴露したことで「秘密」でなくなり、しかもギャラは寄付金からも充てられていたこともバレてしまった。
また、04年のチャリティマラソンランナー・杉田かおるも「思ったより少なかった」とギャラの存在をテレビ番組で認めたようだが、全国各地で行われている市民マラソンは走るために参加費を支払っているというのに、チャリティ番組のランナーは1千万円とも言われるギャラを受け取っている。
つまり番組への出演は
「(チャリティなので)好感度が上がり(チャリティなのに)ギャラも入る一石二鳥」として、落ち目タレントの羨望の的になり下がっているわけだ。
CMを出稿しているスポンサー企業も構図は同じで、「企業イメージの向上」のため、通常の1.5倍とも言われる広告料をせっせと支払っているのだという。
一方で、「ギャラが出るのは趣旨がおかしい」として、ビートたけし、明石家さんま、タモリ、志村けん、所ジョージ、笑福亭鶴瓶などのベテランが出演拒否しているのも知られた話。今さらアピールする必要のない大御所にとっては、
出演する方が「逆にイメージダウンになる」という本質を分かっているようだ。
同番組は身体障害者や難病患者をダシに、
「ほら、泣けよ」と言わんばかりの演出のドキュメンタリーを流して募金を集める「商法」だが、放映権料を支払わなければならない
「パラリンピック」にはまるで興味がないというスタンスは企業体質が非常に分かりやすい。
結局、同番組は「日テレ・出演者・スポンサー」という三者がウィンウィンとなり、裏事情を知らずに善意で寄付をする
視聴者だけが馬鹿を見るという歪(いびつ)な構造で、37年間も続いている。
番組を信じる純真な国民と、それをとことんまで利用して金を集めるテレビ局。その構図は新興宗教そのものであり、日本という国の「暗部」のひとつだ。
参考資料 「はてな匿名ダイアリー(2010.07.23)」 より転載
今でも悔しくて手が震えてる。こんなに怒ったのは生まれてから初めて。脳の血管が切れるんじゃないかと思う。
先日突然家に電話がかかってきた。曰く「(私の兄弟である)〇〇さんのテレビ出演をお願いしたい」とのこと。話を聞いた瞬間「は?」って思わず声に出して言ってしまった。
私の兄弟は知的障害を抱えていて、普通に意思の疎通を図ることすら難しい。そんな人間にいきなりTV出演?なんかの悪戯かと思ったけどはっきりと兄弟の名前を出しているので電話を切るに切れなかった。
私の様子を見た母親が電話を変わってしばらく話していたんだが、だんだん表情が険しくなってきてた。何かを必死で断ってる様子は伝わってきて、だいぶ長いこと話していたんだけど、最後の方になにか電話の向こう側で大声で怒鳴っている様子がわかって,電話を突然切られてたみたい。
母親に聞いても涙ぐんでるだけで、様子を話してくれなかったんだけど、今日やっと「この間実はね…」と話してくれた。
・電話をかけてきたのはテレビ局の人間で、毎年放送しているチャリティー番組に私の兄弟を出演させたい
・兄弟は昔始めたこと(詳しくは書けないけど)で少しだけ名前が知られるようになっていて、それを知ったテレビ局の人間が出演させようとしたらしいこと
それで、私の母親は兄弟がうまく意思の疎通をとれないことや、障害を抱えていることとその有名になったことは無関係であるってことを必死で伝えて、出演を断ろうとしてたみたいんだけど、電話のスタッフがものすごい横柄で、「出演したい人はたくさんいる」だの「障害者が全国区のテレビで取り上げられるのはとても名誉なこと」なんて、障害者を家族に持つ人間の神経を逆撫ですることを言ったらしい。
母親はとても気の弱い人で,私から見ても障害抱えた兄弟のことでとても神経を削っていて、そんなことは私だったらとてもできないといつも思ってる。
断り続ける母に対して、最後はその電話のスタッフは、信じられないような暴言を吐き捨てて、電話をガチャ切りしたらしい。それはあまりに差別的な言葉で、聞いたときは腹を立てるよりも涙が出てしまった。仮にも障害支援を謳った番組のスタッフが…ってくらい酷い言葉。
母はものすごいショックを受けて、数日間吐きそうな真っ青な顔してて、私もすごく心配してた。
世の中の障害者と暮らす家族が皆、障害者を世間にさらけ出して生きていきたいわけじゃないし、静かに暮らして生きたいと思うのは間違いじゃないでしょ?なんで突然晒し者にされそうになった上に、心ない暴言を浴びさせられないといけないんだろう。
悔しくて悔しくて、でもなんでか情けなくて、友達にも誰にも話せない。もうそのテレビ局の番組は二度と見るつもりはない。