
昨日、東京・新宿区の歩道橋上で、集団的自衛権の行使容認に反対する男性が焼身自殺を図った(全治1ヶ月)ことに際し、北海道議会議員(自・帯広市)の小野寺秀(まさる)氏(50)がツイッターで開陳した自説がネット上で賛否両論の反響を呼んでいる。発端となった「つぶやき」は、以下のとおり。
小野寺まさる @onoderamasaru
集団的自衛権に反対して焼身自殺と?…これは公衆の場での迷惑極まりない行為であり、明らかに犯罪だ。又、死にきれずに多大な方々に迷惑をかけた愚行だが、これを「三島事件」と同列に扱うマスコミは完全にイカれている。日本の将来を憂いた国士と日本解体を目論む団塊の世代崩れは真逆の存在である。 (→ 当該ツイート)
自己主張をする方法は他にいくらでもあり、歩道橋上でガソリンをかぶって火をつけるという行為は、無関係の市民に「巻き添え引火」する可能性もあったわけで、決して正当化されるものではない。
また、目撃者の証言によると「消防車の到着を確認してから火をつけた」ようで、だとすれば「狂言自殺」という名の単なるパフォーマンスである。小野寺氏の発言の「主旨」は間違っていないのだが、しかし物事には立場や年齢をわきまえた「言い方」というものがあるわけで…。
そろそろ51歳になろうとしている公人のわりには言葉を選べず、思ったままを正直に書きすぎているのは確かだ。さらに、ツイッターで批判をしてくる人間には挑発的な言葉を返してブロックするという、人間としても政治家としても大人げないその対応に、一部のネット住民は怒り心頭の様子である。
思わず「この人は相変わらずだなぁ…」と口走ってしまった。私には小野寺氏の言動によって人生が変わってしまった過去があるのだが、だからこそ氏の思考回路もよく分かり、今回の騒動も「彼らしい」と思わざるを得ないのだ。
この小野寺氏、地方議会では総じてレベルの低い自民党の中では珍しく仕事ができるタイプで、また「日本国を愛し、誇りを持っている」という意味ではイデオロギーの「方向性」にも共感している。しかし、いかんせん自己表現がストレートすぎるために各方面で軋轢を生んできたのも事実だ。
道議会をよく取材している某道内メディアの記者は、小野寺氏を「政策能力ではピカイチ」としながらも「キャンキャン吠えるスピッツみたいな議員」と表現し、同じ自民党会派の先輩議員も「あいつの言動は唯我独尊すぎる。いつか鼻っ柱を折られる」と呆れている。そして両者とも口を揃えて「品格さえ身につけば議員として怖い者なしなのに…」と残念がっている。
どうやら「オレに意見や批判をする人間は絶対に認めない」という、民主主義や思想・言論の自由を否定してしまうところがあるようで、たとえ相手が一般市民(有権者)であっても容赦なく刃(やいば)を向ける人だ。(自身の経験談。後に形式的な和解をしたが…)
建前上、議員は「市民の公僕」という立場だが、事実上は議員の方が圧倒的な力(公権力)を持つ。それを背景に、力ずくで市民をねじ伏せるやり方は決して支持されるべきではない。ツイッターでは「10年以上道議で、この姿勢でトップ当選ですから」と虚勢を張っているが、少なくても自分で票田を開拓したわけでもない世襲議員が言うセリフではない。
そもそも、件のツイートは「政治家が発した」からこそ騒ぎが大きくなっているのだが、公人たる議員など「批判されてナンボ」である。これをスルーできず、いちいち本気で反応する余裕のなさが自身で火に油を注いでいる。というより、これまでも幾度となくツイッター発言で炎上を誘い、応援メッセージは全てリツイートして表示させるなど、自己顕示と承認欲求がかなり強い性格のようだ。
ちなみに、件のツイート以降の否定意見者に対する発言を抜粋してみると…
・貴方がキチガイと直ぐにわかりました!では!・貴方の馬鹿ツイートよりはましでしょ?・貴方のような世間知らずの偽善者は最悪ですな…・箸にも棒にもかからない「難癖」ばかりですな。では!・政治家は無礼な馬鹿に「馬鹿」と言ってはいけないと?・何だ?貴様は…・無礼者に無礼を振る舞っているだけ。・それを貴方がジャッジと?貴方は何様?・道理が分からぬ道民は日本の恥…・何を謝罪するのです?馬鹿ですな…貴方は…・お前が札幌に来い・確かに“阿呆質問”ですからね…・ウザイ無礼な馬鹿はブロックしますね。では!・妄想馬鹿発見…(笑)・はいはい…お勉強し直しなさいな…貴方…では!・余計なお世話…(笑) 捨てアカの卑怯な方に説得力無し…・馬鹿サヨ発見…・馬鹿は即ブロックの方向で…さらば!・本質議論の出来ない“揚げ足馬鹿”発見!・唖然レベルの馬鹿サヨ発見!・この手の馬鹿は余りに執拗であり、察するに何らかの信者であろう。 ・…っていう貴方の低脳ぶりに脱帽!・シタリ顔の馬鹿発見!・相手陣営も馬鹿すぎる仲間にはげんなりの筈…(笑)・本当に気持ち悪い粘着質の信者さん達ですな…・貴方は似非日本人ですね?・あんまり調子にのらないことですよ…坊や…(笑)・馬鹿なこの方のツイートは、好都合なのでスルーの方向で…(笑)・頭がおかしいのは恥の概念も無い貴方ですな…(笑)・別に貴方に信用される必要はありませんからまったく…「馬鹿発見!」とか、子供かよ…

まさに売り言葉に買い言葉の憎まれ口だが、道民の代表である「道議」としての発言は、すなわち「道民の発言」とみなされてしまうことを分かっているのだろうか…。
「言論の府」である議会に身を置く以上、(好むと好まざるとに関わらず)論理的な批判であれば甘んじて受け入れるか、理性的に反論する度量があってしかるべき。議員という立場の人間が喧嘩をする相手は一般市民ではないはずだし、そもそもツイッターで喧嘩をしているヒマもないはずだ。
ツイッターでのやり取りを客観的に見ていると、批判と中傷の区別もせずに人を貶めて勝った気でいるようだが、「どっちもどっち」の五十歩百歩である。しかも、相手を煽っているつもりが、自身の「煽り耐性のなさ」を露呈してしまっている。攻撃の矛先を間違わぬよう、道民として切に願いたい。
※小野寺氏がこの記事を読んだら、また名指しで報復してくるのかな…(笑)