永遠も半ばを過ぎた

フリーデザイナー兼カメラマンの苦言・放言・一家言

ギャラリーに「高校野球」を追加

2014/05/31(土)
140531.jpg

天気が良かった(ヒマだった?)ので、春季全道高校野球大会の準決勝2試合の観戦のため円山球場へ。(※写真は北見北斗×北照)

本来は12日に母校(札幌あすかぜ、旧・札幌稲北)の2回戦の応援に行くつもりだったのだが都合が悪くなり、しかも1-8で敗退してしまった。

その振り替えとして…というわけでもないが、新聞のスポーツ欄を読んでいると無性に行きたくなり、しかも決勝戦の明日は少年野球の試合のために行けず、今日が最後のチャンスだったという次第。

いつも審判として小学生の野球ばかりを見ているので、たまに高校生のそれを見るのは新鮮だ。球速の違いはもちろんのこと、統率のとれた動きやかけ声は実に見事で、「あの子たちも4~5年でこれほど立派に成長するのね♪」と妙な親心を抱いてみたり…

観戦のついでに多少の写真も撮ったので、しばらく放置していたメインサイトの フォトギャラリー(簡略版) に3枚掲載した。…と、珍しく業務案内してみる。

カテゴリ : 業務関連

日本維新の会が分裂

2014/05/29(木)
140529.jpg

(文中敬称略)

「ついに」というべきか、「やっと」というべきか…。日本維新の会の橋下徹と石原慎太郎というツートップが決別した。政党助成金の関係からであろう、報道では「分党」という言葉が使われているが、橋下側が引き続き同党名を名乗ることになったのは、石原側による事実上の「離党」である。(最後部に報道記事)

5月16日現在の政党支持率(時事通信調べ)によると、自民党が25.1%、民主党が3.2%、そして維新は0.7%である。「1%にも満たない弱小政党によるコップの中の嵐」と言ってしまえばそれまでだが、遅きに失したとはいえ石原側(旧・太陽の党)が飛び出した意義は大きい。

そもそも、石原・橋下両氏の共同代表という「双頭体制」自体に無理があったし、両氏の信頼関係とは別に「大阪維新 vs 旧太陽」という構図の実態は以前から指摘されてきた。つまり、「なるべくしてなった破局劇」ということになる。

飛び出した石原側は否応なく新党結成ということになるだろうが、自民党による一強多弱の中、みんなの党の分裂のように「野党再編」を錦の御旗にした離合集散を繰り返している感は否めない。

とはいえ、平沼赳夫など愛国議員らが集まる石原新党は、「真の保守政党になる」として歓迎する声も少なくない。先の東京都知事選で善戦した田母神俊雄の動向も注目されることになり、昨今の日本の実状を憂う国民にとっては頼もしい存在になるかも知れない。

まぁそれにしても、みんなの党、結いの党、維新の会、そして石原新党と、政党イデオロギーとして野党の構図はかなり分かりやすくなった。いいことだ

【続きを読む】
【続きを閉じる】
維新の会:分党で一致 結いとの合流に石原氏と溝埋まらず

日本維新の会の石原慎太郎、橋下徹両共同代表は28日、名古屋市内で会談し、双方の合意の上で分かれる「分党」をする方針で一致した。橋下氏が目指す結いの党との合流に、石原氏が憲法観の違いなどから反対し、溝が埋まらなかった。維新は2012年9月に結党し、同11月に石原氏が率いる「太陽の党」が合流。衆院53人、参院9人と議席を伸ばしてきたが、約1年半で分裂する。

石原、橋下両氏は名古屋市内のホテルで約20分間会談。石原氏の方から「別々の道を歩んでいこう」と分党を提案し、橋下氏も了承した。結いとの共通政策に「自主憲法制定」の文言を盛り込むかどうかについて折り合えなかったとみられる。(後略)

 (毎日新聞 2014.05.28)


カテゴリ : 政治選挙

コンビニ戦国時代

2014/05/27(火)
140527.jpg

来たる30日、自宅から徒歩数分の国道沿いにセブンイレブンが新規オープンするようだ。数年ほど空き地になっていた場所だが、ようやく活用される。

昨年10月、この新店舗に向かって左350mほどの場所にローソンがオープンしたが、その影響もあってか、同じく右80mほどの場所にあったセイコーマートがこの春にひっそりと閉店した。

基本的に近隣住民をターゲットとするスーパーと違い、コンビニはたまたま前を通る「クルマ客」も取り込む要素が強い。そのため、小規模店といえど駐車場の充実は必須であり、特に大型車用の駐車スペースを持っているところは強い。

このセイコーマートは個人酒販店からの鞍替え店だっただけに店内も駐車場も物理的な窮屈さは否めず、店内の厨房で弁当やホットスナックなどを調理提供する「ホットシェフ」エリアも設置できない店舗だった。そんな状況の中、クルマ客にとって「手前」に位置するローソンがオープンして万事休す…だったのかも知れない(あくまで想像)。

「コンビニ戦国時代」と言われて久しいが、相変わらず大手チェーンの出店ペースはすさまじい。消費者の利便性という意味では、近所にあるコンビニは多いに越したことはないが、その実態は過酷そのものだという。

【続きを読む】
【続きを閉じる】
特にフランチャイズ(FC)店舗の経営者は、粗利の50%以上(ローソンの場合)をロイヤリティとして本部に上納しなければならない。おのずと、人件費削減のために自らも長時間労働を続け、挙げ句に自殺か過労死…というケースも珍しくないのだとか。

コンビニ本部はFC店が増えれば増えるほどノーリスクで儲かる仕組みになっており、FC経営者を食い物にする「奴隷商法」と揶揄されている経営システムだ。私たちが気軽に立ち寄っているコンビニも、その内実は熾烈な弱肉強食の世界なのだということは理解しておきたいものだ。

余談だが、全国でこれほどまでに出店競争が激しいコンビニ(約52,000)より数が多いのが歯科医院(約68,000)なのだという。豆知識として…

カテゴリ : 経済産業

事件発生 → 「規制します!」(キリッ)

2014/05/26(月)
140526.jpg

昨日、AKB48の握手会でメンバーら3人が凶器を振り回した暴漢に襲われたらしく、今日のテレビメディア(下世話なワイドショー系)は上を下への大騒ぎだ。…とはいえ、彼女らを本気で心配しているのではなく、いかにも「人(AKB)の不幸は蜜(視聴率)の味」という印象だったのは当然だが…。

秋元康は相変わらずの握手会商法でボロ儲けしているようだが、あまり知名度のないメンバーの握手会では入場時のセキュリティも甘く、手のひらに白濁した液体が付着していないかどうかの確認程度だったという。(おいおい…)

また、最近は公式の握手会サイトで(事実上の)「握手してやる条件10ヶ条」が告示されて話題になったようだ。その中身はというと、「手を洗え」「鼻毛は出すな」「口臭は消せ」「体臭も消せ」などの一般的なエチケット。いやはや、AKBもいろいろな意味で大変ですな…

それはともかく、この事件に関する一部報道で、次のような文言があった。
「犯行に使われたと思われるワイヤー型ノコギリも特定されており、この事件を受けて販売規制される可能性も出てくる」(ガジェット通信)

あくまで「可能性」の段階だが、何かあるとすぐに「規制」でお茶を濁す日本社会の悪いクセがまた始まりそうだ。

【続きを読む】
【続きを閉じる】
様々な文化や表現が大らかだった80年代頃に比べ、今の日本社会は世知辛く殺伐としている。その一因となっているのが、何か事件があると出てくる「排除の法則」だろう。それは「モノを憎んで人を憎まず」という独特の価値観である。

ざっと思い出すだけでも、次のようなものがある。

・蒟蒻畑で喉を詰まらせ死亡 → 販売規制
・ユッケやレバ刺しで食中毒 → 販売規制
・3Dプリンタで拳銃製造 → プリンタを販売規制(検討中)
・福島第一原発事故 → 国内全原発の運転停止


対策を講じるのではなく「末梢してしまえ」という“クサいものにフタ”の論理である。例えば、「映画館内で無差別殺人。凶器は包丁」という事件が起きた場合、包丁は販売禁止になり、全ての映画館に金属探知機が設置されるという極端な「警戒社会」になりかねない。

技術革新や社会の変化によって淘汰されるなら仕方ないが、想像力が欠如した役人によって消されていくのは国民にとっては何のプラスにもならない。社会が受ける「恩恵」と「害悪」を天秤にかけた議論をしてほしいものだ。

カテゴリ : 時事社会

座して死を待つ「第9条」

2014/05/25(日)
140525.jpg
異常接近した中国軍のSU27戦闘機 (撮影:防衛省)


昨日、東シナ海の公海上空で、中国軍の戦闘機が海上自衛隊の偵察機2機に異常接近するという「事件」があったそうな。(最後部に報道記事)

過去にはロシア機の「領空侵犯」という事例もあるが、今回の中国機はミサイルを搭載したうえでの挑発行為で、一歩間違えば軍事衝突に発展しかねない。

ロシア軍や中国軍は、日本側が「手出し(抵抗)できない」のを百も承知の上でこのような行為に及んでいるわけだが、米軍機に対してこのようなことは絶対にしない、いわば「弱いものイジメ」の構図そのものだ。

それもこれも、憲法9条という「足かせ」があるからで、いざという場合には正当防衛として認められている「個別的自衛権」すら発動できない恐れすらある。

極論だが、「迎撃して相手を殺すより、座して死を待て(殺されてしまえ)」というのが「反戦リベラル世論」の本質であり、あるいは日米安保の発動により援護に来た米軍機が敵機にロックオンされても、「手は出さず見殺しにせよ」というのが「集団的自衛権反対論」の本質だ。

【続きを読む】
【続きを閉じる】
数年前、札幌の極左系市民団体が「札幌から自衛隊を追い出して『無防備都市宣言』をしよう」というトンデモ思想案を市議会に直接請求して否決されるという「笑えない笑い話」があったが、反戦・平和思想というのはこんなのばかりだ。

今のところ、中国機やロシア機が「挑発」に留めている理由は憲法9条ではなく「日米安保」。つまり「アメリカに喧嘩を売るほどバカではない」ということだが、偶発的な軍事衝突という可能性も皆無ではない。さらに北朝鮮の存在も考えると、日本は決して「平和な国」ではなく、いかに脅威に晒されているかが分かる。

メディアも一部市民も、そろそろ「お花畑」な思想から脱却したらどうだろうか。


中国機が自衛隊機に異常接近 東シナ海で

防衛省は24日夜、東シナ海の公海上空で同日午前11時ごろと正午ごろ、海上自衛隊のOP3C画像情報収集機と航空自衛隊のYS11EB電子測定機が、中国軍のSU27戦闘機2機の異常接近を受けたと発表した。

防衛省によると、中国機の異常接近があったのは、東シナ海中央部の日本の防空識別圏と、中国が昨年に設定した防空識別圏が重なる空域。中国戦闘機は海自OP3Cには約50メートル、空自YS11EBには約30メートルまで近づいた。接近はいずれも数秒間だった。

政府関係者によると、自衛隊機は、中国とロシアの海軍による合同軍事演習を監視していた。

 (共同通信 2014.05.25)


カテゴリ : 国際時事

もう一人の姪は芸能界へ…

2014/05/23(金)
140523.jpg
ビッグコミックスピリッツ 2014年25号より

4月28日発売の「ビッグコミックスピリッツ」(小学館)22・23合併号で、連載漫画「美味しんぼ」における福島県の震災・原発事故被害と絡めた内容表現が大きな波紋を呼んだのを受け、同誌は25号(5月19日発売)の誌面に識者見解などを集約した特集記事を掲載した。

これについての賛否や是非は当エントリの主旨ではないので割愛するとして、この25号を書店で立ち読みしていたら、姪である藤田美里が巻頭グラビアに登場していたのでビックリ仰天 この春に芸能界デビューしたという事実は何となく知っていたが、偶然とはいえこんな「注目の号」に載ったとは…。

同じく姪のプロゴルファー・藤田光里については当ブログで何度も取り上げているが、美里はその妹にあたる。キャディーとして姉のラウンドに参加することも多く、自身もゴルファーとしての夢を持っていたはずなのだが、どうやら針路を大きく変えたようだ(笑)

それにしても、生き馬の目を抜く暗黒の世界(芸能界)で美里がどれだけやっていけるのかなぁ…。それ以前に、義弟(美里の父)が芸能界入りを許可したことの方が驚きだったが…。とりあえず、伯父としては応援するしかないわな…

カテゴリ : 日常私事

福井地裁の「哲学」と「確率論」

2014/05/22(木)
140521.jpg
写真(C) 共同通信

定期検査中である大飯原発3・4号機(福井県おおい町)の再稼働を認めないという判決が昨日、福井地裁で下された。

上写真は地裁前でハタ(判決等即報用手持幡)が広げられているところだが、訴訟内容を考えるとずいぶんポップな雰囲気で… 改めて、目的や主旨をわきまえたフォント(書体)の選択が必要だと感じる1枚である。

それはともかく、福島事故後で初となる再稼働の差し止め判決である。原発に関する私見は以前にも書いているので、こちらやこちらをお読み頂くとして、
判決文からは、裁判官の情緒的かつ哲学的な「感情」が伝わってくる印象だ。

例として一部抜粋すると…

少なくともかような事態を招く具体的危険性が万が一でもあれば、その差止めが認められるのは当然である。
たとえ本件原発の運転停止によって多額の貿易赤字が出るとしても、これを国富の流出や喪失というべきではなく、豊かな国土とそこに国民が根を下ろして生活していることが国富であり、これを取り戻すことができなくなることが国富の喪失であると当裁判所は考えている。
…など、反原発派が泣いて喜んだという麗句が踊っている。

【続きを読む】
【続きを閉じる】
なるほど、国民の生命を危険にさらす可能性が万が一でもある限り、再稼働を認めるわけにはいかない…という主旨なのだが、逆を言えば裁判官も文字通り「万にひとつ」程度の確率でしかないということは認識しているようだ。

福島原発事故の直接原因は地震ではなく「津波」であり、当時の民主党政府の稚拙な危機管理がその後の被害拡大を生んだことを考えると、原発の安全性とは別次元の「人災」だった。だが、再稼働にあたってどれほど強固に安全策を講じても、それを判断する人間が主観で「不十分」と言えばそこで話は終わる。

全原発の停止後、日本のエネルギーは火力発電が約9割を占めているが、その原料となる原油や液化天然ガスの多くは、騒乱が絶えない中東各国からの輸入である。その莫大なコストもさることながら、中東情勢の悪化により原料の輸入が全面ストップするような事態になれば「国民が根を下ろして生活していること」自体が成り立たなくなる。福井地裁はその可能性まで考えたうえで出した結論なのだろうか。

「(リスクが)ゼロではない」という確率論を説くのなら、そうした「原発稼働ゼロ時の生命リスク」の確率にも言及して総合的に判断すべきところだが、この判決は原告団に感情的な配慮をした「結論ありき」だった気がしてならない。

ともあれ、今後は高裁さらには最高裁の判断が注目されることになるだろう。
とりあえず反原発派の皆さん、おめでとうございます。

カテゴリ : 時事社会

ルールの番人…「審判」という立場

2014/05/18(日)



まずは、上の動画をご覧頂きたい。
阪神×広島の2軍の試合で、低めの投球を「ストライク」と判定された阪神側の平田監督が、球審に対して猛抗議するシーンである。誤審シーンをピンポイントで寄せ集めた動画なので詳細は不明だが、これより前から「微妙な判定」が繰り返され、ついに堪忍袋の緒が切れた…という事情だったのかも知れない。

とはいえ、たとえ監督でも審判の判定に抗議することは認められていないため、ましてこの言動は許されるものではない。これは決して「審判が偉い」ということではなく、ルールブックにそう定められているのだ。

公認野球規則 9.02 審判員の裁定
(a) 打球がフェアかファウルか、投球がストライクかボールか、あるいは走者がアウトかセーフかという裁定に限らず、審判員の判断に基づく裁定は最終のものであるから、プレーヤー、監督、コーチ、または控えのプレーヤーが、その裁定に対して、異議を唱えることは許されない。


監督に認められているのは、審判の判定が「ルールの適用を誤っている」疑いがある時のみ、当該審判にその訂正を「要請できる」だけである。プロ野球では珍しくもない「抗議シーン」も、本来は明らかなルール違反なのだ。

そもそも、この投球は本当に平田監督が言うような「クソボール」なのだろうか。動画を元にボールの軌道を再現した画像を作ったので、確認してみよう。

【続きを読む】
【続きを閉じる】
140518-1.jpg

この角度では何とも言えないが、少なくてもこの映像だけで判断する限り「低めいっぱいのストライク」に見えないこともない。では、「ストライク」の定義は何か―。公認野球規則では、「打者の肩の上部とユニフォームのズボンの上部との中間点に引いた水平のラインを上限とし、ひざ頭の下部のラインを下限とする本塁上の空間をいう。このストライクゾーンは打者が投球を打つための姿勢で決定されるべきである」と定めている。

140518-2.jpg
写真:Wikipedia 「ストライクゾーン」より

上の写真で分かるように、打者と捕手との距離が1メートル近いことを考えると、ボールは本塁上を通過する際に「ひざ頭の下部より上」を通っているように見える。「クソボール」に見える理由があるとすれば、球筋が山なりのため捕球時のミットの位置が低く、さらに勢いで押し下げられているためとも考えられる。

何にせよ、ルール上ではどんな悪球でも審判が「ストライク」と言えば、それはストライクなのだ。先の動画で平田監督は球審に対し「勘違いしたらアカンよ~」と言っているが、勘違いしているのは監督の方であり、実況や解説者も同様だ。

繰り返すが、決して審判が「偉い」のではなく、野球が「審判員の権限のもとに、本規則に従って行われる競技」(公認野球規則1.01)と定義されている以上、それが“ルールに従った立場”なのだ。

また、日本のプロ野球には他国にない「アンフェア精神」が一部あり、国際大会では毎回ヒンシュクを買っているという。まずは次の写真を見て頂きたい。

140518-3.jpg

特に珍しくないシーンに見えるが、一塁での判定の際、攻撃側のコーチャーが「セーフ」のジェスチャーをしている。これは「一度下された判定は覆らない」のを承知のうえで、審判が「つられてセーフにしてしまう」ことを期待しているためだ。

このように卑怯で姑息なことをしていながら、「予想外のアウト判定」には猛烈に抗議し、挙げ句に「誤審だ!」と騒ぐのである。これが国際大会で「日本野球は一塁審判が二人いる」と揶揄され、アンフェアな行為として知られている。正しい判定をしてほしいのなら、まずは黙って見ていろと言いたい。

   ◇

先日、約25年のキャリアを持つベテラン審判員が連盟を去った。2014年から「投手の、3塁への偽投の禁止(=ボーク)」が公認野球規則に付加されたことに伴い、これを含めた全種類の「ボーク宣告の徹底」がシーズン前に審判団で確認されたことに起因している。

当然ながら、少年野球は大人に比べて技術が未熟で、ルールに関しても無知な場合が多い。特に投手はボークを犯すケースが多いのだが、「可哀想」という理由でそれを取らない(取れない)審判は決して少なくない。数ある判定(裁定)の中で、最も審判の「主観」と「決断」に左右されるのがボークだ。

走者に無条件進塁を与えることになるボークは、時に試合の流れを大きく変える。そのため、それを視認しても投手の気持ちを思ってか「ザッツボーク」と言えない。脱退した審判も、長いキャリアの中でおそらく一度もボーク宣告をしたことがなく、「ボークは厳しく取れ」という連盟の方針について行けなくなったという。

「まだ子供だから(ボークは)仕方がない」という考え方もあるだろうが、「子供だからこそ“ルール遵守”を教育しなければならない」というのが連盟のスタンスである。ボークは「走者を欺く行為」という視点から禁止されているため、「不注意」というケースが大多数の少年野球でも、それは「ルール」として厳格に運用しなければならないのである。

審判は「きちんと判定できて当たり前」という立場。非難されることはあっても、決して褒められることはない。「試合に勝てばチームの実力、負ければ審判のせい」などとも言われ、割に合わない立場だ。だが一方で、野球というスポーツの難しさと奥深さがいちばんよく分かる立場でもある。

「野球観戦オヤジ」たちには、ぜひこの世界に入ってほしいのだが…

カテゴリ : 野球審判

格差社会は「正常な社会」

2014/05/15(木)
140515.jpg
写真(C) 共同通信社

東京・渋谷区で本日、飲食店のアルバイト従業員たちが「時給を1,500円に!」と経営者側に要求するデモを行ったという。(最後部に報道記事)

まず断っておくが、私は「職業に貴賎なし」という考え方を支持しており、反社会的なものを除く全職業は社会に必要とされており、尊いものだと考えている。

とはいえ、このデモに共感できるかというと、否である。

確かに、どの都道府県も最低賃金額は十分とは言えず、場合によっては生活保護を受給した方が豊かに暮らせるというのは、いびつな社会制度とも言える。

だが、時給額に納得して応募したはずの彼らが、少なくても法律(最低賃金)は守っている経営者に対し、正規の交渉ではない「デモ」という手段で不平不満を訴えるのはお門違いで、職業の貴賎とは別問題の話である。

もし本気で怒っているのなら、怒りの矛先は国の雇用政策に向けるべきだが、これまでの日本ではデモによって何かが変わったということはなく、当人たちも「ガス抜き」「ストレス解消」ということは自覚しているのだろう。

ところで、このようなニュースで必ず出てくるのが「格差社会」という言葉だが、資本主義国において格差があるということは、むしろ「正常な社会」の証左だ。ということは、格差解消を叫ぶ彼らは共産思想の持ち主なのだろうか。

【続きを読む】
【続きを閉じる】
ファストフード店をはじめとする飲食接客業の多くは、未経験者でも短期間で一定の戦力になれる。また、時給のアルバイトである以上、彼らもそれを「一生の仕事」ではなく、「腰掛け」あるいは「繋ぎ」と考えているケースがほとんどだろう。つまり、経営側がアルバイターを「使い捨て」として雇うのは必然であり、格差が生まれるのもまた必然である。

では、格差社会に不満を抱くアルバイターたちは共産主義の実現を希望しているかというと、それも違うようだ。「時給が安いから上げろ」というのは「もっと金が欲しい」という己の欲望であり、突き詰めると「勝ち組」になれない憤りを経営者にぶつけているだけのように見える。

世界的に見ると日本ほど格差の少ない資本主義国はなく、しかも機会の平等は保証されている。にも関わらず、知識や技術といった能力を身につける努力もせず、就くのも辞めるのも平易な「アルバイト」に自らの意志で応募し、挙げ句に「格差」という言葉に逃げているのであれば「甘ったれるな」としか言えない。

少なくとも“納得ずく”の時給はきちんと支給されているのだろうし、様々な事情により仕事をしたくてもできない人間も多数いるのだ。経営者側に与するつもりは毛頭ないが、労働者側も身勝手すぎる。不満を吐き出す時間があるのなら、マルクスの「資本論」でも読んでみたらどうだろうか。

少なくても、日本で「労働革命」が起きる可能性は限りなくゼロなのだから…。


「時給1,500円に」と訴えデモ ファストフード店員

「ファストフード店で働く人たちに公正な賃金を」と訴え、従業員の賃金引き上げを求めるデモが15日、東京都渋谷区であり、参加者は「時給を1,500円にして」などと声を張り上げた。

全米サービス業従業員組合(SEIU)が世界35カ国で一斉デモを呼び掛ける「世界同時アクション」の一環。SEIUは2013年に全米100都市で時給15ドルへの賃上げストライキを実施し、オバマ政権が最低賃金引き上げに取り組むなど反響を呼んだ。

日本の実行委員会によると、ファストフード店のアルバイト店員の賃金は、最低賃金ぎりぎりとなる600~700円台の時給を設定している店も多いという。

 (共同通信 2014.05.15)


カテゴリ : 経済産業

母の日に「ばぁちゃん」を偲ぶ

2014/05/12(月)
140511.jpg

昨日は「母の日」。だが、これまで母の日に贈り物をしたことがないため、いつも特別な感慨はない。それは「父の日」も同様だ。

私は高校卒業まで札幌市内の実家で暮らしていたが、誕生日・こどもの日・クリスマス・正月・節分といった「家庭イベント」をほとんどしない家族の中で育った。そのためか、大人になっても両親に(心に内在する謝恩は別として)贈り物などしたことはないし、それは毎年の父母の日も同様だった。

だが、今年の母の日は例年と違い、今年1月に95歳で他界した祖母(母方)のことを思わずにはいられなかった。

【続きを読む】
【続きを閉じる】
昭和41年に結婚した両親は、諸事情により祖母が暮らす母の実家に住むことになった(ただし、婿養子ではない)。母は結婚前から仕事に就いており、私の出産後も1年ほどで職場復帰したという。つまり両親はいわゆる「共働き」だったため、幼い私はおのずと祖母に育てられたことになる。

祖母はいつも優しく穏やかで…なんてことは微塵もなく、「活発で陽気で勝ち気な婆さん」として町内でも有名な存在だった。ある婦人会で旅行に行けば、自分が最年長のくせに「年寄りと一緒だと疲れるわぁ」と愚痴ってみたり、宗教の勧誘が訪ねてくれば「幸福を神頼みしている時点ですでに不幸」と説教したり、まぁとにかくファンキーな婆さんだった。

一方では「生け花(草月流)師範」と「和裁士」という顔を持ち、この二つの収入で家を建てた努力家でもあった。

祖母は「どんな生き方をしてもいいが、他人様にだけは迷惑をかけるな」が教育信条。にも関わらず、小学校低学年時の私は手癖が悪く、いつも近所の文房具店から「ジャポニカ学習帳」を万引きしてはバレてきた。

その度に祖母は、馬乗りになって私を殴り(返り血も浴びていた)、痛みをもって更生させようとしてきた。今なら間違いなく「児童虐待」と騒がれるだろうが…

私は当時からそんな祖母が大好きで、典型的な「ばぁちゃんっ子」だったのだ。

月日が流れ、祖母は5年前から生まれ故郷である青森に移り住んで余生を送っていたのだが、今年1月、ついに訃報が届いた。認知症気味ではあったものの大きな病気もせず、見事な大往生だったという。

残念ながら死に目に会うことはできなかったが、私の人格形成に大きな影響を及ぼした(善悪はともかく…)のは間違いなく祖母であり、昔も今も感謝と尊崇の念でいっぱいである。

「婆の日」というものがないので「母の日」に、改めて祖母の死を悼みたい。
ばぁちゃん…大好きだったよ、ありがとう。

カテゴリ : 日常私事
ホーム | 次の10件 ≫
Calendar / カレンダー
04 | 2014/05 | 06
日 月 火 水 木 金 土
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31
Profile / プロフィール

 山下 浩

Author: 山下 浩
 
・グラフィックデザイナー
・スチールカメラマン
・札幌市在住 1967年生

業務サイト:山下デザインスタジオ

Categories / カテゴリ
自己紹介 (1)
業務関連 (26)
日常私事 (60)
時事社会 (100)
政治選挙 (54)
経済産業 (29)
国際時事 (18)
報道誹議 (27)
末梢雑記 (21)
野球審判 (14)
New Entries / 最新記事
  • 新型コロナの死亡率を出してみた (2020/04/02)
  • 上っ面だけの「オリ・パラ平等」 (2020/04/01)
  • 手抜きメディアの「互いのふんどし」 (2020/03/29)
  • やはり呪われていた「日本の五輪」 (2020/03/25)
  • 英語が「オーバーシュート」してる件 (2020/03/24)
  • 「マスク姿で行楽」の衆愚 (2020/03/23)
  • やはり報われない「プロ免許」 (2020/03/18)
  • きな臭い 孫正義の「善行」 (2020/03/15)
  • 甘ったれるなフリーランス (2020/03/13)
  • 参院選総括 (2016/07/11)
  • あばよ、横路。 (2016/05/29)
  • 沖縄県知事という「身の程」 (2016/05/24)
  • 悪しき判例を作った「ファウルボール訴訟」 (2016/05/21)
  • うれし!楽し!大災害! (2016/04/20)
  • 「なんでも自動化」で衰退する運転技術 (2016/04/14)
  • まかり通った「子供は害悪」思想 (2016/04/12)
  • 職業政治家の資質・体質・本質 (2016/04/02)
  • 左翼メディアの「非国民」ぶり (2016/03/29)
  • 見栄と意地だけの「北海道新幹線」 (2016/03/26)
  • 傲慢すぎた「弱者ビジネス」 (2016/03/24)
  • 日本の「任侠道」はどこへ… (2016/03/21)
  • またまた朝日の「本領発揮」 (2016/03/17)
  • 世論に“征服”された「最優秀作品」 (2016/03/16)
  • 前途多難な「民進党」 (2016/03/15)
  • 道新記事の成果は…? (2016/03/14)
  • これぞ「本場」のヘイトスピーチ (2016/03/10)
  • 不都合は「国」「社会」「他人」のせい (2016/03/08)
  • “風見鶏”ムネオ親子の「損得勘定」 (2016/02/26)
  • 「氷筍」と「弁護士過剰」 (2015/02/06)
  • あぶり出された「日本の暗部」 (2015/02/03)
Search / ブログ内検索


Archives / 月別アーカイブ
  • 2020/04 (2)
  • 2020/03 (7)
  • 2016/07 (1)
  • 2016/05 (3)
  • 2016/04 (4)
  • 2016/03 (10)
  • 2016/02 (1)
  • 2015/02 (3)
  • 2015/01 (13)
  • 2014/12 (13)
  • 2014/11 (8)
  • 2014/10 (9)
  • 2014/09 (10)
  • 2014/08 (18)
  • 2014/07 (15)
  • 2014/06 (15)
  • 2014/05 (15)
  • 2014/04 (8)
  • 2014/03 (7)
  • 2014/02 (6)
  • 2014/01 (7)
  • 2013/12 (10)
  • 2013/11 (11)
  • 2013/10 (2)
  • 2013/09 (3)
  • 2013/08 (5)
  • 2013/07 (4)
  • 2013/06 (4)
  • 2013/05 (5)
  • 2013/04 (4)
  • 2013/03 (10)
  • 2013/02 (10)
  • 2013/01 (12)
  • 2012/12 (16)
  • 2012/11 (23)
  • 2012/10 (4)
  • 2012/09 (6)
  • 2012/08 (3)
  • 2012/06 (6)
  • 2012/05 (8)
  • 2012/04 (9)
  • 2012/03 (1)
  • 2012/02 (5)
  • 2012/01 (2)
  • 2011/12 (2)
  • 2011/11 (3)
  • 2011/10 (4)
  • 2011/09 (1)
  • 2011/08 (2)
Message / メッセージ

名前:
メール:
件名:
本文:

QR Code / QRコード
QR
RSS Links / RSSリンク
  • 最近記事のRSS
  • 最新コメントのRSS
  • 最新トラックバックのRSS
Designed by 気まぐれテンプレート 素材・・・気まぐれ素材屋