呆れた「お涙頂戴」記者会見

写真(C)朝日新聞
「やっぱり日本人は“感動”に弱い、情緒的な国民性なんだなぁ…」
去る9日に行われた、理化学研究所の小保方晴子ユニットリーダー(30)の記者会見と、その後の大衆の反応を(報道で)見聞きしての個人的感想である。
科学的な理論と証拠で疑惑を晴らさなければならない立場にも関わらず、「STAP細胞はあります!」と主張しながらも証拠の一切を「公表しない」とし、一方で不正論文に関しては「未熟だったのだから、もう許して」とばかりに訴えた。
科学研究者としての資質や倫理、また日本の科学技術に対する世界からの不信という「本質論」を、涙ながらに訴える「感情論」にすり替え、会見場の記者の誰もが「納得できなかった」という無意味な会見を乗り切ったのである。
その後の反響は大きく、「よく頑張った」「健気だった」「可哀想に…」「オボちゃんかわいいっ♪」など、世間には小保方氏に同情的・好意的な印象を抱く声が溢れたようだ。さらに、激励の手紙やファンレターまでも送られたというのだから、この会見は小保方氏にとって(非科学的な「イメージ回復」という意味では)「大成功」だったのだろう。
「女の涙は武器」というが、「若い女性が疑惑や批判の矢面に立ち、涙を浮かべながら約2時間半の『集中砲火』に耐えた」――。この一点だけで多くのお人好しな国民を感動させ、同時に怒りや追及の矛先を理研に向けさせたという意味で、彼女は相当したたかな「大女優」であった。
だが、もしこれが小保方氏ではなく、あの「iPS細胞騒動」の森口尚史氏が釈明会見をしたとしても、世間の反応は同様だっただろうか…。
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