「500万PV/月」だそうで…(ホンマかいな

)
ある会社から突然、営業メールが届いた。いわゆる「取材商法」または「インタビュー商法」と呼ばれているもので、要は「芸能人が出向いてインタビューし、書店に流通しない雑誌やネットサイトなどの媒体で紹介してやるからカネを払え」という“記事広告”の勧誘だ。
その存在自体は以前から知ってはいたが、まさか自分にも来るとは…。
ちなみに冒頭部分を抜粋すると…(原文ママ、固有名詞のみ伏せ字)
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山下デザインスタジオ 御中
ご代表 様
拝啓
盛夏の候
突然のメールにて 訪問インタビューレポートのご案内、企画についてのご案内です、何卒ご検討をお願い申し上げます。
私、(株) ●●●が運営する 生活情報サイト 「●●●●●●●●」の企画担当記者で●●と申します。(本社 東京都品川区です)
弊社は、「●●●●●●●●」 http://www.~というタイトルのインターネットの生活情報サイトで お店や会社、お仕事の情報や企画などをそのこだわりを芸能人やタレントと共に直接レポート訪問をさせていただきネット上で情報テレビのようにご紹介させていただいております。
【 新着掲載情報 】として10月度掲載のレポート紹介は女優の●●●●さんが北海道札幌エリアの事務所や会社を直接ご訪問レポートした新着掲載情報として紹介されます。
--------------------------------------------------------…とまぁ、こんな感じの後に企画書が続くのだが、この冒頭部分だけでも
・「代表」の前に「ご」をつけてみたり、
・「御中」と「様」を同時に使ってみたり、
・時候挨拶が「盛夏の候」だけで完結していたり、
・「~ご案内です、何卒ご検討を~」と句読点を誤用したり、
・「ご案内」や「新着掲載情報として」を同じ文章で二度使ったり、
・「芸能人やタレント」って…タレントは芸能人の一部でしょ。
…など、稚拙かつ非常識な日本語が満載で、思わず「なんじゃこりゃ…」と脱力。しかも、屋号だけは調べても、代表者名までは確認しない「やっつけ仕事」にも笑える。社名差し替えの必要性から一斉送信できないため、少しでも手間を減らしたかったのだろうが、かえって失礼な書き方になっていることには気付いていないようだ。
他にも、
「初期の登録費用とか芸能人のギャラとか交通費とか、別タイアップをして欲しいとか、写真代やサイン代など一切ございません、のでご安心しておつきあい下さい」という文言があったが、そもそも
「とか」は口語であり、文語しかもビジネス文書として使用する言葉ではない。「文は人なり」という言葉があるが、これだけでも信用に値する相手ではない。
まぁそれはともかく、掲載料金が2万円×6ヶ月間(12万円)と案内されていた一方、「月間アクセス約45万」という言葉も踊っていた。45万という数字が明らかな水増しなのはよくある話だが、それが「訪問者数」なのか「ページビュー」なのかも曖昧な記述で、このような根拠のない数字を単純に信じてしまう経営者も少なくないのだろう。
しかも、インタビュアーである「ゲストレポーター」一覧のページを見ると、失礼ながら「ひと昔前の…」と言わざるを得ない面々ばかりで、こんなことをして小金を稼がなければならない芸能界の厳しさを垣間見た気になってしまう。
だが、取材を受けて当該サイトに掲載された会社や個人事業主のリンクに飛ぶと、ブログ等で「取材されました!」と報告している経営者の多いこと…。
「芸能人に取材される」ことに価値を見出せれば12万円という投資も高くはないのだろうが、少なくても宣伝としての費用対効果はゼロに近いだろう。それどころか、「こんなものに乗ってしまう経営者」という烙印すら押されかねない。
最初から金額が明示されているため詐欺商法とまでは言えないが、個人事業や零細企業にとっての12万円は「たかが、されど」の金額だ。経営者のポケットマネーならともかく、宣伝経費として計上するのであれば、別の媒体で効果的に使うことをお勧めしたい。
…というより、まずはその会社名を検索して評判くらい確認しましょうよ(笑)
「取材商法」(wikipediaより) ※現在は削除
中小企業を対象に電話による取材申込がメインの商法である。落ち目の芸能人、スポーツ選手などがインタビュアーとなり、企業経営者と雑談をする。業界に精通した人間が派遣される訳ではないため、雑談以上の内容は望めない。
通常のメディアによる取材とは一線を画しており、取材される側が金銭を支払うシステムであり、それが取材商法と呼ばれる所以である。相場は7万円 - となっており、取材地が遠隔地になると、金額が増大する傾向がある。「料金を払って記事を制作・掲載してもらう」という観点からは記事広告の一種であるとも言えなくはないが、購読者、閲覧者がごく一部に限られているため、広告としての対費用効果は著しく低い。
取材という言葉、有名人が来たという事実で、経営者は自社のステータスが上がったと考えがちだが、騙されやすい会社として逆に株を下げてしまう事もあるので、取材を受けるに当っては充分な議論、検討が必要である。