メンタルで負けた侍ジャパン

第3回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で3連覇を目指していた日本代表(侍ジャパン)が、AT&Tパーク(米・サンフランシスコ)でプエルトリコとの準決勝戦を行い、1-3で敗退した。
テレビ観戦していたのだが、終始「勝てる気がしない」試合運びだった。日本の調子が悪かった…というより、プエルトリコの強さを称えるべきだろう。
過去2大会を制覇しただけに重圧もあったのだろうが、シーズン開幕の直前に開催されるWBCは、他競技のW杯などとは異なる「名ばかりの世界大会」だ。2連覇したとはいえ、日本野球の実力が真の世界一だとは誰も思っていない。
だから「憧れのメジャーでプレーしたい」という日本人選手は後を絶たないのに、その逆はあり得ないのだ。いざ渡米するも現地では役に立たず、レベルの違いを思い知らされて傷心帰国した「出戻り組」があまりにも多い。
また、開催者であるMLB自身がシーズン開幕前の「練習試合」程度の意識で、かつ米国内ではほとんど話題にならならない大会での過去の成績を、あたかも国家威信のごとく後生大事に考えてしまうから敗戦のショックも大きいのだ。
オリンピックでも同様だが、このような国際大会になると「日の丸を背負う」という自意識が悲壮感まで漂わせてしまうのが日本人の悪弊で、諸外国との戦いを「楽しもう」という気持ちがまるで感じられない。だから、負けると涙まで流す。
職業スポーツとは、主催者にとって金儲け(興行)であり、しかし観客にとっては娯楽でしかなく、その勝敗で国民生活が変わるわけではない。プロとして全力を尽くすのは当然とはいえ、国際大会になると「お国のため」とばかりの、さながら戦中の日本軍のような意識を背負ってしまっている。
カテゴリ : 時事社会