
去る3月6日付の朝日新聞「天声人語」が、ネット上で大炎上している。
2月27日、兵庫県小野市が「生活保護受給者がパチンコ等の賭博で浪費することを禁止する」旨の条例案を議会に提出したことを受け、同欄では次のような「思想」を開陳していたためだ。
天声人語 (2013.03.06)
▼行きつくところと言うべきか、兵庫県小野市が議会に条例案を提出した。受給者がパチンコなどで浪費しているのを見つけた市民に通報を義務づけるのだという。耳を疑ったがエープリルフールにはまだ間がある▼筆者と違う意見もあろう。だが、そもそも誰が受給者なのか一般市民には分からない。効果は疑わしいうえ、小野市だけでなく全国で色眼鏡が濃くなりかねない▼生活保護の切り下げについて、受給する女性が声欄に寄せていた。「受給者は楽しみを持ってはいけないのでしょうか。貧しい気持ちを持ったまま、暗く生きていかねばならないのでしょうか」。身に染(し)む声ほど小さく震える。
では、その条例案とはどのようなものなのか。
小野市福祉給付制度適正化条例(案)
【第1条】
この条例は、生活保護法(昭和25年法律第144号)第6条第4項に規定する金銭給付、児童扶養手当法(昭和36年法律第238号)第5条に規定する手当額その他福祉制度に基づく公的な金銭給付について、偽りその他不正な手段による給付を未然に防止するとともに、これらの福祉制度に基づき給付された金銭の受給者が、これらの金銭を、遊技、遊興、賭博等に費消してしまい、生活の維持、安定向上に努める義務に違反する行為を防止することにより、福祉制度の適正な運用とこれらの金銭の受給者の自立した生活支援に資することを目的とする。
アカヒ…じゃない朝日新聞はこの条例案に「耳を疑った」そうだが、その時点で社会の公器として失格であろう。「弱者の味方」を自認しているようだが、完全に弱者の立場というものを履き違えている。
通報の義務化に対して「誰が受給者か分からない」と屁理屈をこねているが、「皆で互いを監視して通報せよ」というのではなく、知りうる立場の人間に通報を促すというもので、仕組みは児童虐待の通報と同じだ。
小野市福祉給付制度適正化条例(案)
【第5条3項】
市民及び地域社会の構成員は、受給者に係る偽りその他不正な手段による受給に関する疑い又は給付された金銭をパチンコ、競輪、競馬その他の遊技、遊興、賭博等に費消してしまい、その後の生活の維持、安定向上を図ることに支障が生じる状況を常習的に引き起こしていると認めるときは、速やかに市にその情報を提供するものとする。
また、同欄中の「受給者は楽しみを持ってはいけないのでしょうか」という部分、「楽しみ=パチンコ」なのだとしたら、税金を使っての賭博行為を「ささやかな楽しみ」のように解釈する異常さにはビックリである。
そもそも、パチンコができるほど元気なのに生活保護を受給しているという事実の方が問題だろう。「そんな時間と健康体があるなら働け」というのが、納税している多くの国民感情だろう。怠け者のギャンブルのために税金が使われるなど論外で、こんなものは決して「ささやかな娯楽」ではない。
生活保護法ではパチンコが禁止されているわけではないものの、それはあえて明文化するまでもない「常識」だからである。そして、それを咎められるとすぐに人権を振りかざす人間も決して少なくない。
件の投稿者にとって、
パチンコができなくなるのは「貧しい気持ちを持ったまま、暗く生きていく」ことになるようだが、他の「パチンコ受給者」と朝日新聞を除いて、この声に同情する人は何人いるのだろうか…。
朝日新聞の論調は、この条例によって生活保護受給者が色眼鏡で見られる…とのことだが、お門違いも甚だしい。税金でギャンブル通いをする受給者がいるから色眼鏡で見られるのであり、その結果、本当に困って助けを必要としている受給者までもが必要以上に負い目を感じることになるのだ。
だが、朝日新聞はあたかも受給者のギャンブル依存を擁護・推奨しているような書きぶりだが、パチンコ業界に繁盛してほしい理由でもあるのだろうか。
折しも、去る8日の衆院予算委では中山成彬氏(維新の会)により、太平洋戦争時の慰安婦強制連行や創氏改名強制などが朝日新聞の捏造によるものだったことが白日の下に晒されたばかり。そして、パチンコ店経営者や不正受給者の多くが日本人ではないことを考えると、天声人語が朝日新聞の「思想そのもの」なのも納得ではあるのだが…。