
大衆薬のネット販売を禁じた厚労省令が最高裁で違法とされたため、事実上の解禁となったそうな。(最下部に引用記事)
まぁ妥当な判決だろう。副作用リスクが問われていたが、とはいえ処方箋なしで買える「市販薬」である。大袈裟に言えば、用法・用量を守って服用する分には「毒にも薬にもならない薬」の類だ。薬局などは「薬剤師による口頭での説明が不可欠」として抵抗していたが、少なくても私は第1類薬の購入時ですら薬剤師から説明など受けたためしがない。
ともあれ、これで薬剤師は既得権益を大きく失うことになったわけだが、原告のケンコーコムが、この判決の直後に対象薬品の販売を再開したのには笑った。
まぁ、どちらも商売なので必死だったのだろうが、「日本薬剤師連盟」は自民党の支援団体である。今度は省令ではなく、法改正で対抗してくるのかも…。
大衆薬のネット販売規制「違法」 上告棄却し国が逆転敗訴
医師の処方箋なしで買える一般用医薬品(大衆薬)のインターネット販売を原則禁じた厚生労働省令は違法だとして、ネット通販2社が、国にネット販売をする権利の確認などを求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第2小法廷(竹内行夫裁判長)は11日、国側の上告を棄却した。省令を違法とし、2社に販売の権利を認めた2審東京高裁判決が確定した。
省令による規制が、改正薬事法の委任の範囲内かどうかが主な争点だった。省令が違法とされたことで、国側は規制見直しを迫られることになるが、政府は法改正で一定の規制は続ける方針を固めている。
改正薬事法は大衆薬を副作用リスクに応じて3つに分類。省令はこのうち、特にリスクが高い「第1類」(一部の胃腸薬など)と、比較的リスクが高い「第2類」(風邪薬など)について「薬局等で対面で販売させなければならない」と定め、ネット販売を原則禁じていた。
訴えていたのは、「ケンコーコム」(東京都港区)と「ウェルネット」(横浜市)。厚労省の規制は過度で、憲法で保障された営業の自由を侵害していると主張し、第1~3類全てのネット販売を求めていた。
平成22年3月の1審東京地裁判決は、規制は法の委任の範囲内と判断。その上で、副作用による健康被害防止の観点などから、規制の合理性が認められるとして2社の請求を退けた。一方、「新たな状況に応じた規制の見直しが図られるのが、改正法の趣旨にも合致する」と付言していた。
(産経新聞 2012.01.11)