一夜限りの「バブル再来」

東京在住の友人によると、昨夜、グランドプリンスホテル新高輪の巨大宴会場「飛天」で、ディスコイベント「PRINCE DISCO 2012」が開催されたという。
80年代のヒットソングを中心に、ファッションやスーパーカー、レースクイーンと当時を思い出させる演出が目白押しだったようだ。さすがに北海道から気軽に行ける距離ではないが、何とも懐かしく羨ましいイベントだ。
空前の好景気によるカネ余り状態に誰もが浮かれていたバブル全盛期、20代前半という“小僧時代”に東京で仕事をしていた私の年収が700万円台だったのだから、いかに社会の金銭感覚が現在と違っていたのかがよく分かる。職場の同僚と頻繁に雀荘に出向き、「昨日は20万勝った」「今日は30万負けた」と言っていたほどだったのだ。
そのためか、人々の心には余裕があった。インターネットも携帯電話もない時代だったが、それゆえの人間ドラマがあり、生きること自体が面白く、輝いていた。対して、現在の日本社会には様々な種類の閉塞感や虚脱感が蔓延し、まさに「貧すれば鈍する」を体現しているかのようだ。
「バブルよ、もう一度」とも思わないが、何でも激安を是とする“デフレの権化”のような大企業が横行濶歩し、また、それを国民が求め続けている限り、経済の好転など夢のまた夢だろう。歴代政府や日銀の責任が重いのはもちろんだが、貧乏根性が染みつき、何事にも「安かろう」を求める我々の側にも大きな要因があると自省したいものだ。
カテゴリ : 時事社会