
最高裁で「違憲状態」とされ、一票の格差を是正しないまま行われようとしている衆院選(12月16日投開票)の差し止めを求めて特別抗告した弁護士グループが敗訴した。(最下部に引用記事)
何のことはない、この弁護士センセイたちにとっては「予定通り」の判決である。法律的に棄却されることが分かっていたからこその提訴であり、裁判官は無駄な仕事に付き合わされたことになる。
原告の主張(違憲状態での選挙反対)は、理屈ではよく分かる。だが、そもそも法改正に必要な衆議院はすでに解散してしまっているのだ。選挙の差し止めを認めるということは、その前提である解散も撤回させなければならない。
そんなことはあり得ないと、法律に精通した原告のセンセイたちはよく分かっているはずだ。では、彼らはなぜこのような提訴をしたのだろうか。
「人権派」や「市民派」を自称する弁護士や一部の市民団体は、時折このような訴訟を起こす。地方議員による政務調査費の使途が不明朗だとする返還請求などがいい例だろう。成功報酬などない、いわば「正義の訴訟」である。
だが、供給過剰の弁護士業界は弱肉強食の時代に突入し、最近はサラ金への過払い金返還訴訟でボロ儲け…という者も多い。そんなご時世に「正義」という自己満足だけでメシは食えないため、今回のような「結果ありきの行政訴訟」を起こして声高に記者会見をするのだ。
つまり、訴訟の目的は「売名」であり、マスコミもその本質を分かっているため、今回の判決報道はどの媒体もベタ記事扱いである。
「普通の人が考えればおかしい」(山口弁護士)と叫ぶ前に、自身の訴訟自体が「普通の人が考えればおかしい」ことに気付くべきだろう。
1票の格差:衆院選差し止め、原告敗訴が確定 上告棄却
最高裁が示した「違憲状態」を是正しないまま行われる12月16日投開票の衆院選を巡り、1票の格差是正を求める山口邦明弁護士のグループが国を相手に選挙実施の差し止めなどを求めた訴訟で、最高裁第1小法廷(横田尤孝裁判長)は30日付で、訴えを却下した1、2審判断を支持し、上告と特別抗告をいずれも棄却する決定を出した。弁護士グループの敗訴が確定した。
1、2審とも「選挙の差し止め訴訟を起こせると定めた法律の規定はない」と判断。小法廷も「上告理由に該当しない」と退けた。
山口弁護士は記者会見し「最高裁が憲法違反と判断した定数配分規定で再び選挙をやるのは普通の人が考えればおかしい。人権侵害が行われようとしているのに止めないとはどういうことか」と憤った。
(毎日新聞 2012.12.01)