インタビューに応じる佐藤克男・森町長 (当時、2009.11.25撮影)
「佐藤が逮捕された」―
森町(渡島管内)のある筋から一報が入った。
去る10月14日に投開票された同町長選に2期目を目指して出馬し、落選した佐藤克男前町長が公職選挙法違反容疑で道警に逮捕されたという。
確認したところ、時事通信が簡単に速報を打っていた。(最下部に記事引用)
佐藤氏は選挙告示後、全職員に「こんな手紙が私に届きました。コメントは避けます」とのメールを送った。それには「佐藤町長頑張って当選してください」などと書かれた、職員からとされる手紙のスキャンデータが添付されていたという。これが町長の地位を利用した選挙運動にあたると判断されたようだ。
佐藤氏が初当選した08年の町長選は、それまで10期37年間も君臨してきた当時の町長が官製談合容疑で逮捕された直後の「出直し選挙」だった。
告示前に行われた候補予定者の公開討論会で私がコーディネーターを務めた(→
函館新聞)こともあり、当選1年後に町政改革の進捗に関するインタビューを行ったこともあった。(上写真)
初当選時に佐藤氏は「民間の手法を大胆に取り入れて役所を改革する」と豪語していたが、議会とは深刻な対立を続け、3年連続の決算不認定や2度の問責決議案可決など混迷の連続だったという。また、町民からの不信の声も少なくなかったようで、今回の逮捕容疑は再選への焦りがあったのかも知れない。
佐藤氏は事情聴取の段階で「公選法違反とは知らなかった」と供述していたようだが、冒頭の情報提供者は「個人的な主観」と前置きしたうえで、「あの手紙は(佐藤氏による)自作自演だと思う」と語っていた。何ら裏付けのない、想像の域を脱していない見解だが、それも含めて今後の捜査で明らかになるのだろう。
それにしても、この「公選法違反」という容疑で当局が摘発するのは、決まって「落選者」である。当選者(議員や首長)の逮捕は「いろいろとマズいことになる」のだろう。過去の犯罪すら無かったことにできるのが「政治権力」なのだ。
落選の前町長逮捕、公選法違反=メールで支持呼び掛け-北海道警
北海道森町で町長選挙期間中にメールで町職員に支持を呼び掛けたとして、道警森署は15日、公職選挙法違反(法定外文書の頒布など)容疑で、前町長の佐藤克男容疑者(62)を逮捕した。認否は明らかにしていない。
逮捕容疑は告示後の10月10日、支持を求める内容のメールを町職員ら約330人に送り、公務員の立場を利用して選挙活動した疑い。
(時事通信 2012.11.15)