デザイナーは「アーティスト」ではない

「広告表現は商売のための表現 自己表現にあらず」
これは、いつも自らへ言い聞かせる戒めの言葉である。コピーライターの仲畑貴志氏が著書に記しされている言葉の要旨だ。
「自己表現」
クリエイターならば誰もが持ち合わせている感覚だろう。もちろん無の状態から作り上げるのだから、ある程度の自己表現をしなければ仕事にならない。問題なのは、それを「自己満足」で完結しようとしてしまうことだ。
己の感性を忠実に表現し、個展などで発表する書道家や画家らの芸術家は、まさに自己表現の世界である。だが、商業広告のデザイナーは「クライアントに依頼され制作する」という、彼らとの決定的な違いがある。つまり、最終目標は「クライアントが気に入る」ことであり、そこには「自己満足」を貫く余地はない。
制作物はあくまで「商品」であり、決して「作品」ではないのだ。
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