
私はこれまで、テレビショッピングというものを利用したことがない。根拠のない偏見かも知れないが、説明者のセールストークや助手の驚きっぷりなど、全てが芝居がかっている(芝居なのだが…)ため、商品も信用できないのだ。
ところが先日、BSでプロ野球中継を観ていた際、「しじみ習慣」の通販CMが流れた。曰く、
「しじみに含まれているアラニンとグルタミンが、アセトアルデヒドを分解する酵素の働きを高める。さらに、メチオニンが肝臓の働きを助け、タウリンが胆汁の排出を促して肝臓の解毒作用を活発にする。しかも、しじみにはビタミンB12も含まれており、肝機能を高める」のだという。
分かったようで分からなかったのだが、
「最近はアルコールを飲んでも酔いが早い。つまり肝機能が衰えてきた」と自己診断していた私は、
「10日分無料サンプル」という殺し文句にも屈し、思わず受話器を取ってしまった。
フリーダイヤルにかけると、「注文が殺到しているので、折り返す」として名前と電話番号を聞かれ、約5分後に違う人物から電話がかかってきた。そして、このオペレータとの「戦い」が始まったのである。
以下に、そのやり取りを羅列する。
やま 「初めてなので、試供品をお願いしたい」オペ 「その前に、なぜこの商品に興味を?」やま 「最近、酒が弱くなってきたので…」オペ 「まぁ大変。しじみは効果抜群ですよぉ」やま 「なので、とりあえず試したいなと…」オペ 「ここでステキなご提案が、ありまぁ~す!」やま 「(-_-)?」オペ 「この電話で定期購入を申し込むと、最初の1ヶ月分が半額!」やま 「定期購入…?いや、試したいだけなので…」オペ 「10日分のサンプルじゃ、効果なんてありませんよぉ」やま 「ふぁ? では効果はいつから?」オペ 「そうですねぇ~3ヶ月ぐらい飲み続けないと」やま 「3ヶ月ってか…
」オペ 「何事も継続ですからぁ~」やま 「はぁ…」オペ 「今時期は暑いですし、熱中症にも効きますよぉ~」やま 「北海道なんでそれほどでも…」オペ 「とにかく今だけの特典ですよぉ~ぜひぜひ!」やま 「いや、試供品で結構です」オペ 「(チッ)わかりました。ではご住所を…」以下略
表現はかなり脚色したが、会話の要旨はこんな感じである。
CMでは
「無料サンプルで効果があったら購入してね」という良心的なニュアンスだったが、それは大きな「釣り針」でしかなく、
「無料」「お試し」という言葉に釣られたカモに電話をかけさせ、最初からセールストークである。
しかも
「今回(のサンプル)は通常の2倍!なんと10日間分!」という割には、効果が出るのは3ヶ月後だという。もちろん、そんなことはCMでは言っていない。薬ではないサプリメントに即効性を期待する方が間違っているとはいえ、では何のためのサンプルなんだか…。(電話をかけさせるため)
ネットで効果を調べてみても、「いかにも」な絶賛記事を除外すれば、
「実感として効果がよく分からない」という感じである。こういう類のものは、気の持ちようで体質が改善した気になるものなのだろう。いわゆる
「プラシーボ効果」だ。
何にせよ、テレビ通販はこのような騙し討ちをしているのだと勉強した。サンプルは説明書に従い飲酒の前後に一日2回ずつ服用、つまり10日分ながらも5日で飲み切ったが、当然ながら効果は分からず。
今回は「魔が差した」が、商品が何であれ、テレビ通販はやはり信用できない。やはり、情報収集力に乏しい高齢者層をターゲットにしているということか…。